この記事のポイント
- カリフォルニア州がストリーミング広告の音量規制を導入し、2026年7月1日から施行。
- 新法「SB 576」により、広告の音量が視聴中のコンテンツより大きくなることが禁止される。
- ストリーミング業界は反発するも、イリノイ州でも同様の規制が控えており、全国的な音量改善への期待が高まる。
ストリーミングサービスを利用している際、番組の途中で突然大音量の広告が流れ出し、慌ててリモコンを探した経験はないでしょうか。この長年の不満に対し、ついに具体的な動きがありました。米メディアDigital Trendsの報道によると、カリフォルニア州は2026年7月1日より、ストリーミングプラットフォームに対し、広告の音量を視聴中のコンテンツよりも大きくすることを禁じる新法を施行します。これにより、視聴体験の不快感が大幅に軽減されることが期待されています。
カリフォルニア州が先陣を切るストリーミング広告音量規制
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、2025年10月に法案「SB 576」に署名し、2026年7月1日からその効力が発揮されることになりました。この新法は、ストリーミングサービスにおける広告の音量問題を解決することを目的としています。
放送業界の既存規制とストリーミング業界のギャップ
実は、放送、ケーブル、衛星テレビプロバイダーは、2010年以降「Commercial Advertisement Loudness Mitigation (CALM) Act」という同様の音量規制に従ってきました。しかし、ストリーミングサービスはこの基準に合わせる義務がなく、広告とコンテンツの音量差が長らく問題視されていました。SB 576は、この規制のギャップを埋めるものです。
法案を起草したトム・アンバーグ州上院議員は、寝ている赤ちゃんがストリーミング広告の大音量で飛び起きてしまうという、ある親からの訴えが法案作成のきっかけになったと述べています。この規制は現時点ではカリフォルニア州の視聴者にのみ適用されますが、イリノイ州でも2027年に同様の措置が施行される予定であり、各ストリーミング企業が州ごとに対応するよりも、全国的に音量調整を適用する動機付けになる可能性を秘めています。
ストリーミング業界の反応と技術的課題
この法案に対し、ストリーミング業界は必ずしも歓迎ムードではありませんでした。Netflix、Disney、Amazon Prime Videoといった大手企業を代表するMotion Picture AssociationとStreaming Innovation Allianceは、この法案に反対の姿勢を示しています。
彼らが主張する主な理由は、多くのプラットフォームが既にサーバーサイド広告挿入(SSAI)によって生じる一貫性のない広告音量に対処している点です。SSAIでは、番組とは異なるエンコード方式で広告がストリームに挿入されるため、音量の均一性を保つのが技術的に難しいとされています。さらに、スマートフォン、タブレット、テレビなど、多様なデバイスで広告が再生されることを考慮すると、音量の一貫性を維持することは想像以上に複雑な課題であると業界側は説明しています。
現時点では、どのストリーミングサービスも具体的な対応計画を公表していませんが、カリフォルニア州のこの動きが実質的な変化を促せば、視聴者を悩ませてきた大音量広告は、より耳障りの少ないものへと改善されるかもしれません。
【管理人の視点】日本のユーザー目線
日本でも、テレビCMと番組の音量差や、YouTubeなどの動画配信サービスで流れる広告の音量が突然大きくなることに不満を感じているユーザーは少なくありません。日本の放送業界では、2012年から「ラウドネス値」という音量の国際基準が導入され、テレビCMと番組の音量差は一定程度抑制されています。しかし、ストリーミングサービスにおける広告音量については、明確な法規制は存在しないのが現状です。
今回のカリフォルニア州の規制は、放送業界の規制をストリーミングサービスにも拡大するものであり、これは日本の状況にも示唆を与える可能性があります。グローバルに展開するストリーミングサービスが、米国の一部の州の規制に対応するためにシステムを改修すれば、その変更が結果的に日本を含む他の地域にも波及し、世界中の視聴者の体験が向上する可能性も考えられます。特に、多くのデバイスで視聴されるストリーミングサービスにおいて、音量の一貫性はユーザー体験の質を大きく左右する要素です。今回の動きが、日本のストリーミング広告の音量問題改善に向けた議論のきっかけとなることを期待したいところです。
まとめ
カリフォルニア州がストリーミング広告の音量規制に踏み切ったことは、視聴者にとって長年の不満が解消される大きな一歩となるでしょう。業界側には技術的な課題やコストの問題があるものの、イリノイ州でも同様の規制が導入されることから、将来的には全国的な、あるいは国際的な基準へと発展する可能性も視野に入ってきます。この動きが、より快適なストリーミング視聴体験の実現に繋がることを期待します。
情報元:Digital Trends

