スマートグラス「RokidスマートAIグラス」レビュー:Meta・Evenとの違いと実用性を徹底比較

-

RokidスマートAIグラスの「全部入り」機能とその強み

Rokidが提供する「RokidスマートAIグラス」は、単色の両眼ディスプレイ、カメラ、マイク、オープンイヤースピーカーを統合した多機能なウェアラブルデバイスです。このスマートグラスは、Makuakeでの先行販売が間もなく終了すると報じられており、その機能性と市場での立ち位置に注目が集まっています。

RokidスマートAIグラスの主要な機能は多岐にわたります。GPTやGeminiをベースとした独自のAIアシスタントとの会話、外国語のリアルタイム対訳表示、ボイスレコーダーとしての議事録作成、カメラを通じた写真・動画撮影やAIへの質問、メニューや看板の翻訳、音声と地図によるナビゲーション、原稿やメモを表示するテレプロンプター、スマートフォンの通知表示や音楽再生などが挙げられます。これらの機能が単一のデバイスに集約されている点が、Rokid AIグラスの大きな特徴です。

現在のスマートグラス市場では、MetaのRay-Ban MetaやOakley Meta AIグラスが世界的に広く普及していますが、RokidスマートAIグラスはこれら競合製品にはない独自の強みを持っています。ディスプレイ、カメラ、スピーカーをすべて搭載する「全部入り」設計に加え、ユーザーがGeminiとChatGPTをAI機能として選択できる柔軟性、複数の翻訳エンジンを選べる選択肢の広さが魅力です。さらに、日本国内で正規販売とサポートが提供されている点や、開発者向け情報提供に積極的でアプリ開発が比較的容易である点、そして日本以外の市場での豊富な販売実績と確立されたエコシステムも、ハードウェア仕様を超えた強力な利点として挙げられます。

主要競合製品との比較:Meta・Even AIグラスの特性とRokidの立ち位置

スマートグラス市場は急速に拡大しており、様々なメーカーが製品を投入しています。特に日本国内で入手可能な主要な製品としては、MetaのRay-Ban Meta / Oakley Meta AIグラスと、Even RealitiesのEven G2が挙げられます。これらの製品と比較することで、RokidスマートAIグラスの設計思想と市場での独自の立ち位置がより明確になります。

Ray-Ban Meta / Oakley Meta AIグラスの特性

Metaが展開するRay-Ban MetaおよびOakley Meta AIグラスは、ディスプレイを搭載しないオーディオグラスタイプです。その最大の特徴は、Ray-BanやOakleyのアイコニックなサングラスデザインをそのまま採用している点にあります。スタイルとレンズの選択肢が豊富で、ファッションアイテムとしての魅力が高いのが特徴です。

機能面では、カメラ機能とMeta AIが前面に打ち出されています。InstagramやFacebook、MessengerといったMetaの自社サービスとの連携はもちろん、Apple Music、Amazon Music、Spotify、Google/Outlookカレンダー、Appleヘルスケア、Garminなど、他社アプリとの連携にも対応しています。日本での発売に際しては、LINEへの対応も予告されており、ソーシャルメディアとの親和性が非常に高い製品と言えるでしょう。

米国で2023年に発売されて以来、1000万本近くを販売し、継続的なアップデートが実施されています。Metaが全社的なAI戦略の要と位置づけ、ウェアラブルデバイスに特化した独自のAIモデルを開発するなど、その進化は目覚ましいものがあります。

Even Realities G2の特性

中国のスタートアップEven Realitiesが販売するEven G2は、RokidスマートAIグラスと同様に両眼ディスプレイを搭載していますが、カメラは非搭載という点が大きな違いです。この「カメラなし」という設計は、プライバシーへの懸念を周囲に与えることなく、日常的に着用しやすいというメリットを生み出しています。

また、多くのスマートグラスが採用するオープンイヤースピーカーも非搭載であるため、細い金属フレームを採用し、「普通のメガネ」と見紛うほどの洗練されたスタイルを実現しています。多機能性よりもディスプレイ表示による「ユーザーアシスト」に特化した設計思想が特徴で、一日中使える長時間駆動や、オプションのリング型コントローラー「Even R1」によるサイレント操作にも対応しています。

低消費電力重視の独自プラットフォームを採用しながらも、開発者向けの機能開発には積極的で、プラグイン形式で簡易な独自アプリを追加しやすい仕組みが提供されています。

設計思想とRokidスマートAIグラスの立ち位置

MetaとEven、どちらの製品もそれぞれの魅力を持つ人気商品ですが、同じ「スマートグラス」というカテゴリに属しながらも、その設計思想と「できること」は大きく異なります。例えば、MetaのAIグラスはディスプレイがないため、通知の一覧表示や天気予報の確認、相手の言葉を字幕として見るリアルタイム通訳(国内では今後対応予定)はできません。カメラとソーシャルメディア連携は強力ですが、プレビューがないため超広角の画角とレンズ位置に慣れる必要があります。

一方、Even G2はディスプレイ表示に特化した「引き算の設計」が特徴です。視界に重なる情報ディスプレイとしては非常に優れていますが、カメラ非搭載のため、見たものを翻訳させたり、写真や動画を撮影したり、AIに質問したりすることはできません。また、AIの読み上げ機能や音楽再生機能も備えていません。

これに対し、RokidスマートAIグラスは「ディスプレイあり・カメラあり・スピーカーあり」の「全部入り」設計により、上記のような幅広いユースケースに一台で対応できる点が最大の強みです。Metaのようなソーシャルメディア連携特化でもなく、Evenのような情報表示特化でもない、現時点での主要なスマートグラス用途を網羅するバランスの取れた製品として位置づけられます。

高い視認性と広視野角を誇るRokidスマートグラスの単色ディスプレイ

RokidスマートAIグラスに搭載されているディスプレイは、グリーン単色の両眼式で、その視認性の高さが際立っています。比較的広い視野角と相まって、テキスト表示が明るく、非常に読みやすいのが特徴です。これは、スマートグラスの主要な機能である情報表示において、ユーザー体験を大きく左右する重要な要素と言えるでしょう。

一般的に、グラス型ディスプレイは、ユーザーのメガネとしてのフィット感や掛け方と、ディスプレイ光学系として最適なレンズと眼球の相対位置との関係が複雑になりがちです。これにより、ユーザーインターフェースが視界の端に配置されると見切れたり、メガネがずれると視界から外れたりする問題が発生することがあります。しかし、RokidスマートAIグラスは、ウェーブガイド式レンズの表示領域を上下に広く調整できるため、個々のユーザーの目の位置やメガネとの距離に合わせて、最も見やすい位置を選択できる点で優れています。

ディスプレイの輝度は最大1500ニトと非常に明るく、夜間などでは高輝度で正面表示すると視界を妨げ、危険を感じるほどです。この明るさは、屋外の明るい環境下でも情報を明確に視認できるというメリットをもたらします。肉眼では、レンズ越しにスマートフォンで撮影した画像よりも、はるかにくっきりと明るく表示されるため、情報の読み取りやすさは非常に高いと言えるでしょう。

89か国語対応の低遅延翻訳と柔軟なAIモデル選択

RokidスマートAIグラスのAI機能は、MetaやGoogleのように自社でAIモデルを開発するのではなく、ある程度オープンな設計思想に基づいています。このアプローチにより、ユーザーはAI機能において高い柔軟性を享受できます。

例えば、「Hi Rokid」というウェイクワードで呼び出せる「Rokid AI」は、グラスとの音声会話に最適化された汎用AIですが、その「中身」となるロジック部分については、会話と画像理解のそれぞれでGPT-5またはGeminiモデルを選択できる仕組みになっています。これにより、ユーザーは自身のニーズや好みに合わせて、最も適したAIモデルを利用することが可能です。

翻訳機能も同様に柔軟性が高く、マイクロソフトを含む複数のプロバイダから翻訳エンジンを選択できます。さらに、インターネット接続が不要なローカルモデルも利用できるため、オフライン環境でも翻訳機能を利用できるのは大きなメリットです。実際に使用してみると、言語の自動検出と対訳表示が特に便利だと感じられます。スマートフォンアプリを操作することなく、対面の相手やプレゼンテーションを視界に入れたままリアルタイムで翻訳や通訳を確認できるのは、スマートグラスならではの利便性です。

他機種ではグラス側のメニューをたどったり、スマートフォンを取り出したりしないと設定できない場合もあり、とっさの対応や言語切り替えに手間取ることがあります。しかし、RokidスマートAIグラスでは「自動検出」機能が搭載された翻訳エンジンを選択できるため、複数言語の話者が交代するような状況でも、スムーズに対応できます。もちろん、周囲で同時に複数言語が話される場合や、言語検出がある程度の長さとクリアな音声が前提となるため、事前に使用言語が分かっていれば手動で選択する方が精度は向上するでしょう。

原語と翻訳先を両方視界に表示する対訳表示機能は、ディスプレイ領域の広さと読みやすさが最大限に活かされる機能です。ある程度聞き取れる言語であっても、知らない単語や自信のない言い回しが occasional に現れる場合、機械翻訳に頼り切らず、必要に応じて確認できるのは非常に便利です。対訳の履歴はアプリ側にテキストで残り、エクスポートも可能なため、文字起こしと翻訳がセットになった簡易的なボイスレコーダーとしても活用できます。

また、RokidスマートAIグラスには「会議メモ」機能も搭載されており、音声そのものを録音し、後からアプリ側でAIによる文字起こし、要約、音声とテキストのエクスポートが可能です。AIの翻訳や要約は近年進化していますが、マイクを通じた音声認識の段階ではまだ課題が多いため、後で人間や別のAIが確認する用途では、この会議メモ機能が非常に役立つでしょう。

個性的なAIアシスタントとカメラ機能の実用性

「ダウナー系お姉さん」ボイスのRokid AI

RokidスマートAIグラスのAIアシスタントは、音声や本体タッチで呼び出すことができ、翻訳や音声メモの起動、一般的な質問や会話、カメラで見たものについて質問するといった多様なタスクに対応します。AIモデルとしてChatGPTやGeminiを選択できるものの、ユーザーが実際に会話するのは、スマートグラスとしての応対や機能呼び出しに対応した「Rokid AI」というフロントエンドです。

このRokid AIのデフォルト音声(現時点では唯一の音声)が、非常に生々しい女性の発音である点が、試用者の間でやや動揺を呼んでいます。一般的なAIアプリで使われるTTS(Text-to-Speech)エンジンが、アナウンサーや同時通訳者のような落ち着きと明瞭さを優先したSiriやAlexa的な口調であるのに対し、Rokid AIの日本語音声は、まるで「あまり作っていない声で朗読してください」とトレーニングされたかのような、全体的には非常に自然ながらも妙な生々しさのある、「ダウナー系お姉さん」的なボイスだと評されています。これは音声モデルの違いによるものですが、ユーザー体験に独特の個性を与えています。

AIとの会話自体は、一般的な質問の範囲であれば十分に賢く、AIグラスの中では回答の長さをやや長めに調整しているため、一つの話題についてさらに質問を重ねて詳しく展開するような問答も可能です。しかし、あくまでターン制のテキスト会話を音声に変換しているため、回答には一定の待ち時間があり、ユーザーが途中で割り込んで訂正してもすぐに反応するといった、ライブ会話専用モードのような自然な対話は現時点では難しいという課題も残されています。

「視界の記録」としてのカメラ性能

RokidスマートAIグラスの「カメラあり」機能で期待される「AIに見せて質問」や「写真・動画の撮影」は、どちらも実用レベルに達しています。12Mピクセルのカメラはセンサーサイズが小さいため、最新スマートフォンの高性能カメラと比較すると、解像度や暗所での撮影性能は見劣りします。スマートフォンカメラの代替として期待すると、やや物足りなさを感じるかもしれません。

しかし、両手が塞がっている状況でも見たものをそのまま撮影できる、手に構えて覗き込む必要がない顔マウントカメラとしての利便性は、他のデバイスでは得難い魅力です。「撮影したい被写体なら、スマホを取り出す手間を惜しまず高画質を選ぶべき」という意見も一理ありますが、状況に応じて使い分けることが重要です。カメラグラスを装着しているからといって、スマートフォンが使えなくなるわけではありません。

かつて携帯電話にカメラが搭載され始めた頃にも、同様の議論がありました。「せっかくの被写体を低画質で撮るのはもったいない」「カメラはもっと優れたものがあるから無駄な機能だ」といった意見もありましたが、手軽な撮影手段が普及したことで、写真を撮るシチュエーション自体が大きく広がったのは歴史が証明しています。掲示物をメモ代わりに素早く撮影したい、明るい場所の状況や雰囲気を記録したいといった場面では、スマートグラスのカメラでも十分に事足りることが多々あります。また、撮影した画像をAIに直接渡してテキストで内容を記録できる機能は、シンプルながら非常に便利です。

スマートフォン撮影のようにズームや正確な画角決定はできませんが、撮影直後に単色ディスプレイでプレビューを表示し、意図通りの構図になっているかすぐに確認できるのは大きな利点です。何よりも、料理など両手を使う作業や「ハンズオン」の様子を気軽に記録したり、子どもと遊ぶ際に撮影役に徹することなく、自分がその場で体験した主観的な動画を記録できるのは、カメラ付きグラスならではの強力なメリットと言えるでしょう。

スタイルとプライバシーの課題:「光る眼」とデザイン

顔に装着するファッションアイテムでもあるメガネは、個性を表現する重要な要素です。RokidスマートAIグラスは、露骨に「テックギア」や「顔面コンピューター」といった外観ではなく、一般的なサングラスと比較しても極端に重いわけではありません(約49g)。しかし、ツルやフレームにはある程度の厚みがあり、ウェーブガイド式のレンズもやや目立ちます。これは個人の好みや許容範囲による問題であり、写真で確認したり、実際に試着したりして判断する必要があるでしょう。

XREALやVITUREといったビデオグラスに比べれば、はるかに軽く目立たないデザインです。カラーディスプレイのために独特の厚いレンズを採用したMeta Ray-Ban Display(国内未発売)よりも、すっきりとしており、常時着用するメガネに近い印象です。しかし、細い金属フレームのメガネと比較するとやはり太く、樹脂製のサングラスといった程度の存在感があります。

外観で特に気になる点としては、ツルの目立つ部分に非常に大きなRokidロゴが左右両側に配置されていること、そしてレンズの外側の反射が強く、ディスプレイの表示が目立ちやすいことが挙げられます。ロゴについては、MacBookのリンゴマークのように、多くの人が気にしなかったり、アーリーアダプター層にとってはむしろ好みのブランドを身につける喜びと感じる可能性もあります。

レンズの問題は二つあります。一つは、コーティングによる反射が強く、ほぼ平面であるため、周囲の景色がそのまま映り込みやすい点です。ミラーグラスほどではありませんが、例えば高画質のウェブカメラでオンライン会議に参加すると、バーチャル背景を設定していてもレンズの映り込みでデスク周りが映ってしまうことがあります。もう一つ、そしてより重要な点は、レンズに光を通して目に届けるウェーブガイドの仕組みと品質から、外側への光の漏れが多く、使用中は対面の相手から「目が緑色に光って見える」ことです。

よほど近くで覗き込んだり、高画質のカメラでピントを合わせない限り、左右反転した文字自体は読み取れません。しかし、何らかの表示がされていること、ユーザーが何かを読んでいることは相手に明白に伝わってしまいます。Rokidはこの点を認識しており、プライバシーを重視して表示位置を調整したり、表示面積を小さくしたり、輝度を落とすモードも用意しています。

とはいえ、ステージ上の演者がプロンプターを読んでいるのが見えてもスルーされるように、将来的にスマートグラスが普及すれば、状況によっては相手の言葉を真剣に拝聴していることの表れと受け取られる可能性もあります。しかし現時点では、「メガネ型のディスプレイだから自分にしか見えない」「対面の相手に気づかれずに資料を読もう」といった使い方は難しいと認識しておくべきでしょう。

視力補正用のレンズについては、マグネットで手前側に貼り付ける簡易な仕組みが採用されています。ウェーブガイド式のディスプレイは、レンズ自体に光を導く経路が刻まれているため、度付きにする場合は工場で特殊なレンズを製造する必要がある製品も多く、高価になったり納期が遅れたりすることがよくあります。しかしRokidスマートAIグラスは、後からクリップオン式のレンズを取り付けられるため、視力補正が容易に行えるのは大きな利点です。

関連商品を探す

Ray-Ban Meta AIグラス

改善の余地:Rokid AIの読み上げ精度とバッテリー寿命

RokidスマートAIグラスは意欲的な製品であり、海外市場での好調な販売実績や、Makuakeでの記録的な先行販売数も納得できるほどの魅力を備えています。しかし、まだ粗削りな点や、ローカライズが完全ではない部分、ハードウェア的に無理をして機能を詰め込んだと思われる点も散見されます。

TTSエンジンの課題と日本語認識の難しさ

Rokid AIとの会話、特に読み上げ機能には改善の余地があります。発音自体は非常に自然で生々しい一方で、漢字や数字の奇妙な読み方、文脈を無視した読み上げが時折発生し、ユーザーを困惑させることがあります。例えば、「喉が渇いて」(カツいて)や「夜空にきれいな月が」(ガツが)といった誤読は、文脈で理解できる場合もありますが、「約140分」(ツマじゅうよんゼロぶ)のような読み方は、耳だけで聞くと混乱を招きかねません。

これはおそらく、テキストで受け取った回答を読み上げるTTSエンジンの弱さに起因するものであり、原理的には今後のソフトウェアアップデートで改善される可能性は十分にあります。しかし、あくまでターン制のテキスト会話を音声に変換しているため、回答には一定の待ち時間が発生し、ユーザーが途中で割り込んで訂正してもすぐに反応するといった、ChatGPTやGeminiのライブ会話専用モードのような自然な対話は現時点では実現していません。

会話機能にはもう一つ、Rokid AIに限らず他社製品にも共通する課題として、日本語の聞き取り精度が挙げられます。はっきりと発音しても、同音異義語や区切りを間違えた語として認識されてしまうことがあり、AIモデル側が音とテキストの関係を意識していない(変換後のテキストを受け取っている)ために、言葉を尽くして訂正しても理解されず、最終的に諦めざるを得ない状況も発生します。

バッテリー駆動時間と節約術

「全部入り」で多機能である反面、バッテリー駆動時間はRokidスマートAIグラスの弱点の一つです。公称では「通常使用」で8〜10時間、音楽再生で6時間、Bluetooth通話で4時間とされていますが、実際には「Hi Rokid」というウェイクワードを常時聞き取っていることもあり、いつの間にかバッテリーが減少していることが少なくありません。

カメラ非搭載のグラスでは撮影によるバッテリー消費がなく、スピーカー非搭載の製品では音楽再生に使わないためバッテリーが減らないのは当然ですが、RokidスマートAIグラスは多機能ゆえに使い道が多く、結果として相対的にバッテリーの減りが速いという印象を与えがちです。充電自体は容易で、マグネット式コネクタのUSB-Cケーブルをツルの先端に接続するだけです。充電ケースも用意されていますが、ケーブルだけを持ち歩けば良いのは利便性が高い点です。

バッテリーを節約する方法としては、音声操作を使わない場合にウェイクワードの常時聞き取りを無効にすることで、スリープ時の消費電力を大幅に削減できます。標準では指輪やリストバンドなどのコントローラーが付属しないため、ウェイクワードをオフにすると手動で音声聞き取りモードにするか、ツルのタッチ操作に限定されてしまい、操作性は低下します。しかし、翻訳など特定の機能を決まったタイミングで使うだけであれば、スマートフォンアプリを簡易的なリモコンやシャッターボタンとして活用することも可能です。

外部コントローラと開発環境の可能性

Even G2のリング型コントローラー「R1」や、Meta Ray-Ban Displayのリストバンド型コントローラー「Meta Neural Band」が示すように、外部コントローラーはスマートグラスの重要な要素になりつつあります。RokidスマートAIグラスは、スマートフォンアプリをリモコンとして利用できるほか、標準では現時点で外部コントローラーを用意していませんが、筋電リストバンド「Mudra Link」とのパートナーシップを発表するなど、OS側としては汎用のBluetoothコントローラーに対応しています。

Rokid独自のプラットフォームである「YodaOS Sprite」はAndroidをベースとしており、グラス側で動作する単体アプリや、スマートフォン側の連携アプリの開発者向けSDKが公開されています。現時点では、サードパーティ製アプリや一般ユーザーが開発したプラグインをスマートフォンアプリ側から探して利用できるような仕組みは提供されていませんが、開発環境の開放性は今後の拡張性に期待を持たせるものです。

「欲を言えば」のレベルではありますが、現時点では外部アプリやサービスとの連携が少なく、スマートグラス単体で完結しがちな点も気になります。会話や翻訳のログを活用するためには、アプリから手動でエクスポートする必要があります。AIについても、バックエンドとしてGPT-5やGeminiモデルを選択できるものの、実際に会話するのはRokid AIであり、スマートフォンのChatGPTやGeminiアプリとの会話ログやメモリーが継続するわけではありません。Rokid AIに頼めるのは、基本的な質問やグラス本体機能の呼び出しに限定されます。

これは、Googleが目指すような、エコシステム全体を貫く軸としてのAIとスマートグラスで会話する世界観、AIが様々なサービスやアプリを能動的に使い、スマートグラスでの会話が指示と承認になる世界観にはまだ至っていません。この方向性は、アプリ開発の柔軟性と合わせて、今後のアップデートに期待される部分です。

こんな人におすすめ

  • 最先端のAI機能を搭載した多機能なスマートグラスを体験したい人
  • リアルタイム翻訳や議事録作成など、ビジネスや学習で実用的な機能を求める人
  • ハンズフリーでの写真・動画撮影や、視界の情報をAIに質問したい人
  • MetaやEvenとは異なるアプローチのスマートグラスに興味がある人
  • 開発者向けのエコシステムや将来的な拡張性に期待する人

よくある質問

RokidスマートAIグラスはオフラインでも翻訳できますか?

はい、対応しています。RokidスマートAIグラスは、インターネット接続不要のローカル翻訳モデルを選択できるため、オフライン環境でも翻訳機能を利用することが可能です。

バッテリーの持ちはどのくらいですか?

公称では「通常使用」で8〜10時間とされていますが、ウェイクワードの常時聞き取りなどにより、実際の使用時間は変動する可能性があります。バッテリー節約のため、ウェイクワードの常時聞き取りを無効にすることも可能です。

視力補正用のレンズは使えますか?

はい、使えます。RokidスマートAIグラスは、マグネットで手前側に貼り付けるクリップオン式の視力補正用レンズに対応しているため、度付きレンズが必要な方も容易に利用できます。

Rokid AIの日本語音声はどのような特徴がありますか?

Rokid AIの日本語音声は、非常に生々しい女性の発音で、一般的なAIアシスタントとは異なる独特の「ダウナー系お姉さん」的な声質が特徴です。自然ながらも、漢字や数字の読み方、文脈無視が時折見られるなど、改善の余地もあります。

関連商品を探す

Even Realities G2

まとめ

スマートグラス市場はまだ発展途上であり、ユーザー体験のベストプラクティスやエコシステムの確立には時間を要します。しかし、RokidスマートAIグラスは、その全体的な使用感が予想以上に良好であり、この黎明期において優れた選択肢の一つとなり得ます。肝心なディスプレイの視認性は高く、撮影や翻訳といった基本機能は、グラス単体で完結しがちな側面はあるものの、既に実用レベルに達しています。

一方で、Rokid AIの独特な日本語読み上げや、日本語聞き取りの精度など、まだ改善の余地がある点も存在します。GoogleやMetaのように自社でAIモデルや広範なエコシステムを持つ大手とは異なる立ち位置のRokidが、今後どこまでアップデートを継続し、製品を成熟させていくかが、その将来性を大きく左右するでしょう。しかし、既に一定以上の販売実績を収め、試用期間中にも頻繁なアップデートが行われているという事実は、Rokidの改善への意欲を示しています。没個性的なスタイルや目立つRokidロゴに抵抗がなければ、Metaに近いカメラ機能、日本語対応のAI、実用的な翻訳機能に加え、今後の改善を楽しめる魅力的なAIグラスとして、RokidスマートAIグラスは有力な選択肢となるでしょう。

情報元:テクノエッジ TechnoEdge

合わせて読みたい  Kenkoカメラレインカバー EX登場:高機能撥水素材で雨天撮影を快適に

著者

カテゴリー

Related Stories