ゲラッパが開発を進めるPC(Steam)向け対戦型オートバトラー『三国志BOND』のクローズドβテスト(CBT)が、2026年5月1日から3日にかけて実施されました。本作は、アーケードで人気を博した『三国志大戦』シリーズのプロデューサーを務めた西山泰弘氏が手掛ける新作として、その戦略性とゲームシステムに大きな注目が集まっています。今回のCBTで明らかになったゲームの全貌と、シリーズの遺伝子をどのように受け継ぎ、新たな可能性を提示しているのかを詳しく解説します。
『三国志大戦』のDNAを受け継ぐ新たな戦略性
『三国志BOND』は、かつてアーケードゲームとして一世を風靡した『三国志大戦』シリーズの系譜を受け継ぐ作品として開発が進められています。特に、プロデューサーの西山泰弘氏が長年『三国志』を題材とした対戦ゲームに携わってきた経験が、本作の根幹を形成しています。本作はPC(Steam)向けの買い切りタイトルとしてリリースされる予定で、スマートフォンゲームで一般的なガチャやスタミナといった要素に煩わされることなく、純粋な戦略対戦を楽しめる点が特徴です。

今回のCBTは、正式リリースに先駆けてゲームの感触を参加者に体験してもらい、フィードバックを収集することを目的としていました。CBTでプレイできたのは「頂上争覇」モードのみで、これは参加プレイヤーのデータをAIが操作する非同期PvP形式。2敗するまでに何連勝できるかを競うランキング形式で、プレイヤーは自身の戦略を試す機会を得ました。
『魁 三国志大戦』をベースにしたゲームシステム
本作のゲームシステムは、シリーズの中でも特に『魁 三国志大戦』をベースに再構築されています。これは、リアルタイムで武将を動かすアーケード版『三国志大戦』とは異なり、事前のデッキ構築と配置、進軍指示に戦略の重点を置くオートバトラー形式を採用していることを意味します。CBT参加者の中には『魁 三国志大戦』の経験者も多く、そのシステムがどのように発展したのかが注目されました。
ゲームの基本的な流れは以下の通りです。
- コストに準じた最大4名の武将と軍師を編成し、初期デッキを構築します。
- マップ上の拠点を進行し、新たな武将を登用します。この要素はローグライクゲームのように、プレイごとに異なる武将との出会いを提供し、高いリプレイ性を生み出します。
- 戦場の自陣に武将を配置し、進軍先を設定します。
- 「出陣」を選択すると戦闘が開始され、配置した武将によるオートバトルが展開されます。
- これらの手順を繰り返し、「序局」「中局」「終局」の最大3局の戦闘を行います。
武将には武力、知力、兵種、コスト、所属勢力、特技、使用計略といった詳細なステータスが設定されており、兵種間の三すくみ(槍兵は騎兵に強く、騎兵は弓兵に強く、弓兵は槍兵に強い)や、高コスト武将の強力さなど、『三国志大戦』シリーズでお馴染みの要素が健在です。カード風の美麗なイラストもシリーズファンには馴染み深く、視覚的な魅力も引き継がれています。

オートバトルにおける戦略の要「配置と進軍」
『三国志BOND』の戦闘はオートバトル形式であるため、プレイヤーは戦闘中の直接的な操作を行いません。その代わりに、戦闘前の「準備」が勝敗を大きく左右します。特に重要なのは、武将の配置と進軍方向の指定です。敵軍の配置は伏兵を含めて事前に確認できるため、それに対してどの武将をどこに配置し、どの方向へ進ませるかを戦略的に決定する必要があります。

武将の配置が完了し「出陣」を選ぶと、武将たちは指定された方向へ進軍し、攻撃範囲内の敵と自動で交戦します。交戦時には互いの武力差に基づいて兵力が削られ、兵力がゼロになった武将は撤退し、その戦闘では再出撃できません。敵を全滅させるか、敵がいなくなると武将は敵城へ向かい、城の耐久力を削る「攻城」を行います。
このシンプルな戦闘システムに奥深さを加えるのが「計略」です。計略は武将が持つ特殊なスキルで、攻撃、強化、妨害など多岐にわたります。その発動条件は自軍の武将数や兵種・勢力の数に応じて決まり、発動タイミングも開戦時、接敵時、一定時間経過後など武将ごとに異なります。単純な武将の能力差だけでなく、計略の発動を意識した編成や配置を行うことで、より有利に戦局を進めることが可能です。例えば、味方全体を大幅に強化する「大号令」のような強力な計略は、発動条件が厳しく設定されており、その発動タイミングを見極めることが重要となります。

中局以降は新たな武将の登用により部隊数が増加し、終局では軍師による強力なスキル「軍師天令」が発動されるなど、戦局に大きな変化が訪れます。最終的に、終局を終えた時点で相手よりも城ゲージが多く残っているか、いずれかの局で相手の城ゲージをゼロにして「落城」させれば勝利となります。
CBTで浮き彫りになった課題と今後の展望
CBTを通じて、『三国志BOND』の魅力と同時に、いくつかの課題も浮き彫りになりました。特に、チュートリアルの不足は新規プレイヤーにとって大きな障壁となる可能性が指摘されています。元記事の筆者も、ゲームシステムを理解するまでに時間を要したと述べており、過去の『三国志大戦』シリーズが「軍師君」のようなキャラクターを立てて密度の濃いチュートリアルを提供していたことを考えると、製品版での改善が期待されます。開発側もこの点を認識しており、CBT参加者向けのDiscordサーバーでは、プロデューサーの西山氏が「遊びながら理解できるゲーム体験」を目指し、過去作を知らない層への体験導線を設計していく旨をコメントしています。
また、1回の対戦時間が15分から20分程度と比較的長いにもかかわらず、戦闘中はプレイヤーが操作できないオートバトル形式であるため、見守るだけの時間が長く感じられるという意見もありました。現状では演出や効果音も最低限の実装に留まっており、計略発動時や軍師天令のような盛り上がる局面での視覚的なインパクトが不足しているため、戦況の熱さが伝わりにくいという課題も挙げられます。これらの演出面が強化されれば、オートバトル特有の「見守る楽しさ」が向上し、プレイヤーの没入感を高めることに繋がるでしょう。
一方で、PCへの負荷が軽いという点は大きな利点です。CBTバージョンはゲーミングPCではない作業用PCでも問題なく動作したと報じられており、これはSteam向けタイトルとしては幅広いユーザー層にアプローチできる強みとなります。派手な演出を追求して高スペックを要求するか、カジュアルなプレイ環境を維持するために演出を抑えるか、このバランス取りが今後の開発における重要な課題となるでしょう。
タイトルに込められた「BOND(絆)」という言葉には、「対戦を通じて生まれる、見知らぬ誰かとの物語」という西山氏の思いが込められています。実際にCBT期間中、開発陣とプレイヤーがDiscord上で活発に意見交換を行う様子が見られ、確かなコミュニティの絆が育まれつつあります。このようなプレイヤーとの密接なコミュニケーションは、ゲームの完成度を高める上で非常に重要であり、今後のコミュニティの盛り上がりにも期待が寄せられます。
『三国志BOND』が提示するオートバトラーの新たな可能性
『三国志BOND』は、オートバトラーというジャンルにおいて、独自の魅力を提示する可能性を秘めています。近年、オートバトラーは手軽さと奥深い戦略性を両立するゲームとして人気を集めており、eスポーツの種目としても注目されています。本作は、『三国志大戦』シリーズで培われた戦略性の高さを、このオートバトラー形式に落とし込むことで、新たなゲーム体験を提供しようとしています。
ユーザーへのメリット・デメリット
- メリット:
- 手軽な戦略対戦: リアルタイム操作が不要なため、複雑な操作を覚える必要がなく、純粋に戦略の組み立てに集中できます。
- 高いリプレイ性: マップ進行で武将を登用するローグライク要素により、毎回異なるデッキ構築が楽しめ、飽きずに長くプレイできます。
- 非同期PvPの利便性: 相手のオンライン状況を気にせず、自分のペースで対戦を楽しめます。
- 幅広いPC環境でプレイ可能: 比較的低いPCスペックでも動作するため、多くのユーザーがアクセスしやすいです。
- 『三国志大戦』の戦略性継承: シリーズファンにとっては、馴染み深い兵種相性や計略の駆け引きを新たな形で体験できます。
- デメリット:
- リアルタイム操作の醍醐味の欠如: 『三国志大戦』のようなリアルタイムでの武将操作による緊張感や爽快感を求めるプレイヤーには物足りなさを感じるかもしれません。
- 現状の演出の控えめさ: 戦闘中の視覚的な盛り上がりに欠けるため、改善が望まれます。
- 新規プレイヤーへの学習コスト: チュートリアルが不足している現状では、ゲームシステムを理解するまでに時間がかかる可能性があります。
『三国志BOND』は、忙しい現代人でも気軽に戦略ゲームを楽しめるという点で、オートバトラー市場に新たな風を吹き込むかもしれません。特に、非同期PvPは、対戦ゲームに興味はあるものの、リアルタイムでのマッチングやプレッシャーを避けたいカジュアル層にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
FAQ:よくある質問
- Q: 「三国志BOND」は基本プレイ無料ですか?
A: いいえ、本作はPC(Steam)向け買い切りタイトルとして開発が進められています。一度購入すれば、追加の課金要素を気にすることなくゲームを楽しめる予定です。 - Q: リアルタイムで武将を操作できないのはなぜですか?
A: 本作は「オートバトラー」というジャンルに属しており、プレイヤーの主な役割は、戦闘前の武将編成、配置、進軍指示といった戦略的な準備にあります。これにより、操作スキルよりも思考力が重視されるゲームデザインとなっています。 - Q: 『三国志大戦』シリーズをプレイしたことがなくても楽しめますか?
A: 開発側も新規プレイヤーへの導線を重視しており、製品版では遊びながら理解できるようなチュートリアルや説明が実装される予定です。三国志の世界観や戦略ゲームに興味があれば、シリーズ未経験者でも十分に楽しめるでしょう。
こんな人におすすめ
- 『三国志大戦』シリーズの戦略性が好きな人
- 手軽に奥深い対戦ゲームを楽しみたい人
- ローグライク要素のあるデッキ構築ゲームに興味がある人
- PCのスペックに自信がないが、戦略ゲームを遊びたい人
まとめ
『三国志BOND』は、『三国志大戦』シリーズのプロデューサーが手掛けるPC(Steam)向け対戦型オートバトラーとして、その戦略性と可能性をCBTで示しました。武将の編成、配置、計略の組み合わせといった奥深い戦略要素は、シリーズの遺伝子を確かに受け継いでいます。一方で、チュートリアルの改善や演出の強化など、製品版に向けてさらなるブラッシュアップが期待される点も明らかになりました。開発陣とプレイヤーコミュニティの「絆」を大切にしながら、今後どのように完成度を高めていくのか、正式リリースが待ち遠しいタイトルです。

