PCゲーミングハンドヘルド3台持ちの筆者が語る!Steam Deckを「使わなくなった」意外な理由

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近年、PCゲーミングハンドヘルド市場は急速な盛り上がりを見せています。ValveのSteam Deckを筆頭に、ASUS ROG Ally、Lenovo Legion Goといった高性能な携帯ゲーム機が登場し、場所を選ばずにPCゲームを楽しめる環境が整いつつあります。しかし、これら人気デバイスを複数所有するユーザーの中には、特定のモデルが「ほとんど使われなくなる」という意外な実態があることが明らかになりました。今回は、3台の主要なPCゲーミングハンドヘルドを所有する筆者の体験談を基に、なぜSteam Deckがそのローテーションから外れてしまったのか、その深層に迫ります。

本記事では、Steam Deckの優れたハードウェアと、その根幹をなすSteamOSが抱える互換性の課題、特にマルチプレイヤーゲームにおけるアンチチートソフトウェアの問題に焦点を当てます。さらに、Windows 11を搭載するROG AllyやLegion Goが提供する汎用性と利便性を比較し、ユーザーが自身のゲーミングスタイルに最適なPCゲーミングハンドヘルドを選ぶための重要な視点を提供します。

PCゲーミングハンドヘルド3台

PCゲーミングハンドヘルドの台頭と多様な選択肢

かつては据え置き型PCやコンソール機が主流だったゲーミングの世界に、新たな風を吹き込んだのがPCゲーミングハンドヘルドです。Steam Deck、ASUS ROG Ally、Lenovo Legion Goといったデバイスは、デスクトップPCに匹敵する性能を手のひらサイズの筐体に凝縮し、いつでもどこでもAAAタイトルを楽しめる自由をもたらしました。これらの登場は、これまでゲーミングに縁がなかった層にも大きな影響を与え、筆者もその一人です。

元々、生産性向上やスマートホームの最適化といったガジェットに興味があり、高フレームレートや高解像度を追求するゲーミングPCには関心が薄かった筆者ですが、PCゲーミングハンドヘルドの登場によりその状況は一変しました。持ち運び可能なフォームファクターで、手軽にPCゲームが楽しめるというコンセプトに魅力を感じ、まず高性能とゲーム互換性、アップグレード性を重視してASUS ROG Allyを購入。その後、リファービッシュ品のSteam Deckがお得な価格で手に入ったため入手し、さらに着脱式コントローラーと内蔵スタンドに惹かれてLenovo Legion Goも購入。結果的に、主要なPCゲーミングハンドヘルドを全て所有するに至りました。

しかし、これら3台を使い続ける中で、筆者の日常的なゲーミングローテーションに残ったのは2台のみ。残りの1台は、次第に埃をかぶるようになっていったのです。そのデバイスこそ、PCゲーミングハンドヘルド市場の火付け役とも言えるSteam Deckでした。

「使われなくなった」Steam Deckが抱える課題

Steam Deckは、その登場以来、多くのゲーマーから絶賛されてきました。コンパクトで洗練された筐体、優れた操作性、そしてLCDモデルとOLEDモデルのどちらを選んでも高品質なスクリーンは、ハードウェアとしての完成度の高さを物語っています。また、microSDカードスロットを搭載し、ASUS ROG Allyのような過熱問題が少ない点も評価されています。特に、Steam DeckがPCゲーミングハンドヘルドのトレンドを確立した理由の一つに、そのOSであるSteamOSが挙げられます。

Steam on Linuxの画面

優れたハードウェアと魅力的なSteamOSのUI

SteamOSはLinuxベースのオペレーティングシステムであり、そのコンソールライクなユーザーインターフェースとゲームランチャーは、Windows 11が提供するどの機能よりも洗練されていると評されています。MicrosoftもWindows 11で全画面表示のXboxモードを導入し、改善を図っていますが、SteamOSの直感的でスタイリッシュな体験にはまだ及ばないのが現状です。Steamストアからのゲームインストールは非常にスムーズで、まさに「コンソール機」のような手軽さでゲームを始められます。

LinuxベースOSがもたらす互換性の壁とアンチチート問題

しかし、この魅力的なSteamOSの裏には、いくつかの課題が隠されています。筆者がSteam Deckを使わなくなった最大の理由は、Linuxベースであることによるゲーム互換性の問題、特にマルチプレイヤーゲームにおけるアンチチートソフトウェアとの相性です。

多くの人気マルチプレイヤーゲームは、Easy Anti-CheatやBattlEyeといったカーネルレベルのアンチチートソフトウェアを採用しています。これらのソフトウェアは、ゲームの公平性を保つために不正行為を検出する重要な役割を担っていますが、Linux環境であるSteamOSでは、これらのアンチチートソフトウェアが正常に動作しないケースが多々あります。結果として、お気に入りのマルチプレイヤーゲームがSteam Deckでプレイできない、あるいは特定の競争モードが利用できないといった事態が発生します。

これはValveやSteam Deckの責任というよりも、アンチチートソフトウェアのLinux対応が不十分であることに起因する問題ですが、ユーザーにとっては「新しいPCゲーミングハンドヘルドで好きなゲームができない」という現実が最も重要です。友人とのオンラインプレイができないという実用上の影響は大きく、これがSteam Deckが筆者のローテーションから外れた決定的な要因となりました。

さらに、Steam以外のサードパーティ製ゲームをインストールする際の煩雑さも課題です。Steamストアのゲームはスムーズに動作するものの、Epic Games StoreやGOGなどのプラットフォームからゲームを導入しようとすると、Linuxのデスクトップインターフェースにアクセスしたり、WineやProtonといった互換レイヤーを調整したりと、平均的なユーザーには敷居の高い作業が必要となる場合があります。2026年の現在において、Minecraftのような一般的なゲームをPCゲーミングハンドヘルドにインストールするのにチュートリアルが必要になるのは、決して理想的な状況とは言えません。

市場の現状と将来性への懸念

加えて、Steam Deckは現在、ストレージやRAMの供給問題により完全に完売しており、その将来性には不透明な部分も存在します。このような状況も、ユーザーが他の選択肢に目を向ける一因となっている可能性があります。

Windows 11搭載PCゲーミングハンドヘルドの優位性

Steam Deckの課題に直面した筆者が最終的に頼ったのは、ASUS ROG AllyとLenovo Legion GoといったWindows 11を搭載するPCゲーミングハンドヘルドでした。これらのデバイスは、カスタムOSやLinuxディストリビューションを使用するハンドヘルドよりも劣ると見なされることもありますが、筆者にとっては「Windows 11が機能である」という認識に至りました。

ASUS ROG Allyの画面

ROG AllyとLegion Goが選ばれる理由

Windows 11を搭載していることで、これらのPCゲーミングハンドヘルドは、馴染み深いWindowsデスクトップ環境をそのまま利用できます。これにより、Steamはもちろんのこと、Microsoft Store、Epic Games Store、GOG、Xbox Game Passなど、あらゆるPCゲームストアからゲームをダウンロードし、インストールすることが可能です。特別な設定や互換性レイヤーを介することなく、PCで通常行うのと同じ感覚でゲームを導入できるのは大きなメリットです。

そして最も重要なのは、Windowsがカーネルレベルのアンチチートソフトウェアを完全にサポートしている点です。これにより、Steam Deckではプレイできなかった人気マルチプレイヤーゲームも、ROG AllyやLegion Goでは問題なく動作します。友人とのオンライン協力プレイや対戦もスムーズに楽しめ、PCゲーミングハンドヘルド本来の「どこでも好きなゲームを」という体験が実現されます。

Windows 11搭載機は、単にゲームを起動できるだけでなく、一般的なPCとしての機能も兼ね備えています。例えば、ブラウジング、動画視聴、オフィス作業など、ゲーム以外の用途にも柔軟に対応できるため、一台で多様なニーズを満たせる汎用性の高さも魅力です。これは、Steam DeckのSteamOSがゲーミングに特化しているがゆえに、デスクトップモードでの操作性やアプリの互換性において課題を抱える点とは対照的です。

PCゲーミングハンドヘルドの比較

ユーザーにとってのPCゲーミングハンドヘルド選択のポイント

筆者の経験から見えてくるのは、PCゲーミングハンドヘルドを選ぶ際に、単なるスペックやデザインだけでなく、OSの特性と自身のゲーミングスタイルを深く考慮する必要があるということです。

こんな人におすすめ:Steam DeckとWindowsハンドヘルド

  • Steam Deckがおすすめな人:
    • 主にSteamライブラリのシングルプレイヤーゲームを楽しむユーザー。
    • Linux環境に抵抗がなく、必要に応じてカスタマイズやトラブルシューティングを楽しめるユーザー。
    • 優れたハードウェアデザインとコンソールライクな体験を重視するユーザー。
  • Windows 11搭載ハンドヘルド(ROG Ally, Legion Goなど)がおすすめな人:
    • Apex LegendsやValorantなど、アンチチートを必要とするマルチプレイヤーゲームを頻繁にプレイするユーザー。
    • Steamだけでなく、Epic Games Store、Xbox Game Passなど、複数のゲームプラットフォームを利用したいユーザー。
    • ゲーム以外の用途(ブラウジング、動画視聴、軽作業など)にも一台で対応したいユーザー。
    • PCの操作に慣れており、Windows環境での自由度を求めるユーザー。

OSの選択は、PCゲーミングハンドヘルドでの体験を大きく左右する決定的な要素となります。Steam DeckのSteamOSは、そのシンプルさと最適化されたゲーミング体験で多くのユーザーを魅了しますが、特定のゲームや用途においてはWindows 11の汎用性に軍配が上がります。特に、オンラインマルチプレイヤーゲームを重視するユーザーにとっては、アンチチートソフトウェアの互換性がデバイス選びの最重要ポイントとなるでしょう。

まとめ:PCゲーミングハンドヘルド市場の進化とOSの重要性

PCゲーミングハンドヘルド市場は、今後もさらなる進化を遂げることが予想されます。Steam Deckが切り開いたこの分野は、ASUSやLenovoといった大手メーカーの参入により、多様な選択肢が生まれています。筆者の体験が示すように、デバイスの性能やデザインだけでなく、OSが提供する互換性や汎用性が、ユーザーの満足度を大きく左右する時代へと突入しています。

ValveがSteamOSのアンチチート対応を強化したり、MicrosoftがWindows 11のゲーミングモードをさらに最適化したりするなど、OSレベルでの改善が今後も期待されます。最終的にどのPCゲーミングハンドヘルドがユーザーの手に残り続けるかは、個々のゲーミングスタイルと、OSが提供する「ストレスフリーな体験」にかかっていると言えるでしょう。ユーザーは自身のニーズを明確にし、OSの特性を理解した上で、最適な一台を選ぶことが重要です。

情報元:makeuseof.com

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