キヤノンは、プロフェッショナル向けシネマレンズ「CINE-SERVOレンズ」シリーズに、革新的な新製品「CN30×40 IAS J/R1」(RFマウント)と「CN30×40 IAS J/P1」(PLマウント)を追加することを発表しました。2026年9月下旬の発売を予定している本レンズは、広角端40mmから世界最望遠となる1200mm(内蔵エクステンダー使用時1800mm)という驚異的なズームレンジを実現しながらも、高い可搬性を維持している点が最大の特長です。8Kカメラ対応の光学性能に加え、オートフォーカス機能や運用性に優れた新デジタルドライブユニットを搭載することで、スポーツ中継、野生動物の撮影、コンサートなど、多岐にわたるライブ制作現場に新たな映像表現の可能性をもたらします。この新レンズが、プロの映像制作現場にどのような変革をもたらすのか、その詳細を深掘りします。
世界最望遠1200mmと驚異の可搬性を両立した超望遠シネマレンズ
新製品「CN30×40 IAS J/R1/P1」は、焦点距離40mmから1200mmまでをカバーする30倍ズームレンズとして登場します。さらに、内蔵された1.5倍エクステンダーを使用することで、焦点距離は60mmから1800mmまで拡張され、35mmフルサイズセンサー対応レンズとして、これまでにない超望遠撮影を可能にします。この圧倒的な望遠性能は、遠距離からの被写体を鮮明に捉える必要のあるスポーツ中継や、警戒心の強い野生動物の撮影において、映像クリエイターに絶大なアドバンテージをもたらすでしょう。

特筆すべきは、この大幅な望遠域の拡大にもかかわらず、レンズの可搬性が損なわれていない点です。2015年発売の従来機種「CN20×50 IAS H/E1/P1」(20倍ズーム)とほぼ同等の全長約405.2mm、質量約6.6kgを維持しており、現場での取り回しやすさを確保しています。これにより、大型の超望遠レンズにありがちな設置や移動の困難さを軽減し、より機動的な撮影が可能になります。また、8Kカメラに対応する高い光学性能を備えているため、将来を見据えた高解像度映像制作にも対応します。
RFマウント版「CN30×40 IAS J/R1」が拓くライブ制作の新境地
RFマウントを採用する「CN30×40 IAS J/R1」は、キヤノン独自のRFマウント通信システムを最大限に活用し、ライブ制作現場におけるカメラオペレーターの負担を大幅に軽減する機能を提供します。
デュアルピクセルCMOS AFとフォーカスガイド機能
従来機種では対応していなかった「デュアルピクセルCMOS AF」およびフォーカスガイド機能に対応することで、動きの速い被写体や、フォーカス合わせが難しい状況下でも、高精度かつスムーズなオートフォーカスを実現します。これにより、スポーツ選手の一瞬の動きや、コンサートでのアーティストの表情など、決して逃すことのできない決定的な瞬間を印象的に捉えることが可能となり、ライブ撮影の品質を飛躍的に向上させます。

EOS C400との連携による自動露出ランピング補正
さらに、「EOS C400」(2024年9月発売)との組み合わせでは、「自動露出ランピング補正」に対応します。これは、ズーム操作時に発生しがちな光量低下を自動で補正し、明るさを一定に保ったまま撮影を継続できる画期的な機能です。これにより、ズームイン・アウトを多用するライブ中継やドキュメンタリー撮影において、映像の明るさの変化を気にすることなく、より自然でプロフェッショナルな映像表現が可能になります。
新開発デジタルドライブユニットと多様な補正機能で映像制作を強力にサポート
「CN30×40 IAS J/R1/P1」には、新開発のデジタルドライブユニットが搭載されており、その運用性と機能性が大幅に向上しています。
高速サーボとUSB Type-C端子
汎用性の高いUSB Type-C端子を搭載し、外部電源を使用することで、ズーム・フォーカスのサーボ速度を高速化できます。これにより、スポーツ中継やライブ制作など、瞬時の反応が求められる現場において、素早いズームイン・ズームアウト操作が可能となり、決定的な瞬間を逃さずに撮影できます。また、レンズのフォーカス、ズーム、アイリスの位置情報を正確に送信できるほか、リモートシステムからのレンズ制御にも対応しており、遠隔操作やバーチャルプロダクション環境での活用も容易になります。

高度な光学補正とバーチャルプロダクション対応
従来機種で対応していた周辺光量補正や倍率色収差補正に加え、歪曲収差補正、フォーカスブリージング補正にも対応しています。これらの補正機能は、映像の品質をさらに高め、ポストプロダクションでの作業負担を軽減します。特に、フォーカスブリージング補正は、フォーカス移動時に画角がわずかに変化する現象を抑制し、より自然な映像表現を可能にします。さらに、キヤノンバーチャルプロダクションシステムにも対応しており、XRスタジオなど最先端の映像制作環境での活用も視野に入れています。
プロの現場にもたらす変革と最適なユーザー層
キヤノンの新CINE-SERVOレンズ「CN30×40」は、その卓越した光学性能と先進的な機能により、プロの映像制作現場に多大な影響を与えることが予想されます。
このレンズは、特に以下のような撮影シーンやユーザーに最適な選択肢となるでしょう。
- スポーツ中継・ライブイベント: 1800mmまでの超望遠と高速サーボにより、広大なスタジアムやアリーナのどこからでも、選手やアーティストの表情、細かな動きを鮮明に捉えることができます。RFマウント版のAF機能は、動きの激しい被写体でも安定したフォーカスを維持し、オペレーターの負担を軽減します。
- 野生動物・自然ドキュメンタリー: 遠距離から被写体を驚かせることなく、その生態を詳細に記録することが可能です。8K対応の光学性能は、自然の息吹を臨場感あふれる映像で伝える上で不可欠です。
- コンサート・演劇: ステージ上の演者をクローズアップしつつ、ズームイン・アウト時の露出変化を抑える自動露出ランピング補正は、ライブパフォーマンスのダイナミズムを損なうことなく記録するのに役立ちます。
- バーチャルプロダクション: 高度なレンズメタデータ出力と各種補正機能、そしてキヤノンバーチャルプロダクションシステムへの対応は、XRスタジオなど最先端の映像制作環境において、リアルタイム合成の精度と効率を向上させます。

RFマウントとPLマウントの2種類のマウントが用意されているため、ユーザーは既存のカメラシステムに合わせて最適な選択が可能です。RFマウントユーザーはキヤノンカメラとの連携による恩恵を最大限に享受でき、PLマウントユーザーは業界標準の汎用性を維持しつつ、この高性能レンズを導入できます。
キヤノンの新CINE-SERVOレンズ「CN30×40 IAS J/R1/P1」は、世界最望遠1200mm(1800mm)という圧倒的なズーム性能と、可搬性、そして8K対応の光学性能を両立させた画期的な製品です。RFマウント版に搭載されたデュアルピクセルCMOS AFや自動露出ランピング補正、さらに新開発のデジタルドライブユニットによる高速サーボと多様な補正機能は、プロの映像制作、特にライブ制作の現場に新たなスタンダードを確立するでしょう。このレンズの登場により、映像クリエイターはこれまで以上に自由で高品質な映像表現を追求できるようになり、今後の映像業界の発展に大きく貢献することが期待されます。
情報元:PRONEWS

