Panicのユニークなゲーム開発哲学
「Untitled Goose Game ~いたずらガチョウがやって来た!~」は、鳴き声ボタンしかない迷惑なガチョウが主役という、一見するとヒットしそうにないゲームでした。しかし、この型破りなアプローチこそが、Playdateハンドヘルドから驚異的な人気を博した『Untitled Goose Game』に至るまで、Panicのゲーム開発における常識となっています。
Panicの共同創設者であるケーブル・サッサー氏は、The Vergeのインタビューで、「『Goose Game』の続編を望む声は多かったが、新作『Big Walk』の方がはるかにエキサイティングで、開発元のHouse Houseにとっても興味深いものだと感じた」と語っています。また、『Untitled Goose Game』は発売から3ヶ月で100万本以上のセールスを記録したと、サッサー氏のX(旧Twitter)投稿(https://x.com/cabel/status/1211754892605308928)で報じられています。
新作『Big Walk』:協力とコミュニケーションの冒険
『Big Walk』は、最大12人まで同時にプレイできる協力型マルチプレイヤーアドベンチャーです。プレイヤーは手足の生えた可愛らしいボールのようなキャラクターとなり、豊かな自然環境を探索します。このゲーム体験は、近接ボイスチャットを中心に構築されており、他のプレイヤーと話すには近くにいる必要があります(近接テキストチャットも利用可能)。
キャラクターは腕を指差したり、物を拾って頭上に掲げたりといった限られたアクションしかできません。これにより、プレイヤーは互いに協力し、コミュニケーションを取りながら進むことが求められます。ゲームのパズルやチャレンジはそれほど難しくなく、難易度よりも「一緒にいること」が重視されています。開発元のHouse Houseは、ハイキング中に「20の質問」をしたり、キャンプ中にジェスチャーゲームをしたりするような感覚を再現しようとしています。
公式情報:Big Walk Preview Reservation
COVID-19が育んだ「親密さ」のゲーム
『Big Walk』のアイデアは、COVID-19のロックダウン中に生まれました。House Houseのニコ・ディセルドープ氏とスチュアート・ギレスピー=クック氏は、オンラインゲームを多くプレイする中で、「お互いに親密さを感じること」を意図したゲームを作ろうと決意したと語っています。プレイヤーが個別に進行するのではなく、意図的に協力し合うことがゲームの焦点となっています。
サッサー氏は、『Big Walk』がPanicに適しているのは、普段マルチプレイヤーゲームをプレイしない人々にもアピールできるマルチプレイヤーゲームであるためだと考えています。これは、競争の激しいマルチプレイヤー市場に参入しつつ、非ゲーマー層にもリーチするための完璧な方法です。
Panicのゲーム事業と今後の展望
約30年前にMac向けソフトウェア会社として創業したPanicは、2016年にCampo Santoの『Firewatch』をパブリッシングしてゲーム業界に参入しました。そして3年後、『Untitled Goose Game』が発売から3ヶ月で100万本以上のセールスを記録し、大きな成功を収めました。
この成功により、Panicは厳選されたゲームのパブリッシング、自社ハードウェア(Playdate)の販売、デジタルゲームストアの運営といった、大胆かつ野心的な方向へと事業を拡大しました。現在、Panicのビデオゲーム事業はMacソフトウェア事業よりも大きくなっているとサッサー氏は述べています。
Panicのゲームに共通するのは、その独自性です。『Time Flies』はハエの人生、『Blippo Plus』はチャンネル切り替え、『Herdling』は毛むくじゃらの動物の群れ、『Thank Goodness You’re Here!』は人々を叩くスラップスティックコメディといった具合に、どれも個性的です。Panicのパブリッシング責任者であるアリッサ・ハリソン氏によると、これらのゲームは「気まぐれさやユーモアのセンスがあり、熱心なゲーマーでなくても親しみやすい」とのことです。
しかし、Panicは今後のリリース数を削減する方向で検討しています。サッサー氏は、「リリースしたすべてのゲームに誇りを持っているが、少人数のチーム(ゲーム部門はわずか3人)で多くのゲームを手がけるのは大変だった」と語っています。ハリソン氏も、「チームが非常に小さい場合、ゲームのリリース時期が近すぎると悪影響が大きい。より深く集中できる方が良い」と付け加えています。
現時点では、Panicは『Big Walk』のリリース準備に注力しており、今年(2026年)PCとPS5で発売される予定です。その後に何が来るかは不明ですが、Panicのことなので、きっとまた驚きを提供してくれるでしょう。

