OpenAIのロボティクスチームを率いていたハードウェア担当幹部、ケイトリン・カリノウスキー氏が、同社と米国防総省(ペンタゴン)との間で締結された契約に抗議し、辞任したことを発表しました。
カリノウスキー氏は、この決定が「容易なものではなかった」と述べつつも、AIの倫理的利用に関する自身の原則に基づいていることを強調しています。
辞任の背景にあるカリノウスキー氏の主張
カリノウスキー氏は、自身のソーシャルメディアへの投稿で、辞任の理由を次のように説明しています。
- AIは国家安全保障において重要な役割を担うものの、「司法の監視なしでのアメリカ国民の監視」や「人間の承認なしでの致死性自律兵器」は、越えてはならない一線である。
- これらの問題は、より慎重な審議が必要であったにもかかわらず、十分な議論が行われなかった。
- 今回の契約発表は「ガードレールが定義されないまま急がれた」ものであり、ガバナンス上の懸念が第一にある。
彼女は、この決定が「原則に関するものであり、人に関するものではない」とし、サム・アルトマンCEOやOpenAIチームに対して深い敬意を抱いていると付け加えています。
カリノウスキー氏のX(旧Twitter)投稿: https://x.com/kalinowski007/status/2030331550236320071
OpenAIの公式見解と広がる波紋
OpenAIの広報担当者は、カリノウスキー氏の辞任を認めました。同社は、国防総省との契約について、「国内監視なし、自律兵器なし」というレッドラインを明確にしながら、AIの責任ある国家安全保障利用のための実行可能な道筋を作るものだと説明しています。
また、OpenAIは、これらの問題に関して様々な意見があることを認識しており、従業員、政府、市民社会、そして世界中のコミュニティとの議論を継続していくと述べています。
この契約を巡っては、OpenAIの発表の1週間前、競合のAI企業Anthropicが同様の交渉を国防総省と行いましたが、大量の国内監視や完全自律兵器への技術使用を防ぐための安全策を巡って決裂していました。その後、国防総省はAnthropicを「サプライチェーンリスク」に指定しています。
OpenAIが国防総省との契約を発表して以来、消費者からの反発も報じられています。ChatGPTのアンインストール数が295%急増し、AnthropicのClaudeがApp Storeの無料アプリランキングで上位に浮上するなど、AI技術の軍事利用に対する一般の懸念が浮き彫りになっています。

