この記事のポイント
- Deity PR-4は映画録音にも対応するプロ仕様の小型4chレコーダー。
- 32bitフロート録音、AIノイズリダクション、タイムコード同期など高機能を搭載。
- 競合機を凌ぐ軽量コンパクト設計とDeityエコシステム連携が強み。
Deityから、映画制作やフィールドレコーディングで活躍するプロフェッショナル向け4チャンネルレコーダー「PR-4」が登場しました。このコンパクトなデバイスは、高音質な32bitフロート録音に対応し、超低ノイズプリアンプやAIノイズリダクション、タイムコード同期機能など、現場で求められる多くの機能を備えています。国内では7月より店頭に並ぶ予定で、その実力と使い勝手を詳しく検証します。
Deity PR-4の概要と主要機能
Deity Microphone社が開発した「PR-4」は、コンパクトながらプロの要求に応える高音質と多機能を両立したプロ用レコーダーです。中国・深圳を拠点とする同社は、プロ用デジタル無線マイクシステム「THEOS」で知られ、映画照明の世界的なスタンダード機材メーカーであるAputure社を親会社に持ちます。
PR-4は4チャンネル入力に対応し、音割れの心配がない32bitフロート録音(デュアルADC)を実現。新開発の超低ノイズプリアンプを搭載し、映画録音のような極めて高い音質が求められる現場でもその性能を発揮します。また、ノイズリダクションやイコライザー、タイムコード入出力、Bluetoothタイムコード同期といった音響機能も充実しており、交換可能な汎用リチウムバッテリー(NP-F550)で約8時間の長時間稼働が可能です。
その最大の特徴は、プロ用4chレコーダーとしては最小最軽量である点です。約80×98×41mmの小型ボディと218g(本体のみ)の軽さは、機動性が求められる現場で圧倒的な優位性をもたらします。
競合機ZOOM F6との詳細比較
PR-4のライバル機として挙げられるのは、ZOOM社の「F6」です。両者の主要スペックを比較することで、PR-4の具体的な強みが見えてきます。
| 項目 | ZOOM F6 | Deity PR-4(2026年発売) | ポイント |
|---|---|---|---|
| アナログ入力数 | 6入力(すべてXLRバランス入力) | 4入力(XLR/TRSコンボ×2、3.5mmステレオ×1) | XLR入力数はF6が上 |
| 最大録音トラック | 8トラック(6インプット独立 + ステレオミックス) | 6トラック(4インプット独立 + ステレオミックス + 内部SSD収録&SDカードへの同時書き出し) | PR-4は内部SSDとSDへの同時書き出しや、別の形式に振り分けが可能 |
| マイクプリアンプ | ZOOMオリジナル(最大ゲイン +75dB) | ReGain PreAmp(最大ゲイン +60dB) | 数十万円の超高音質マイクを使わなければ、差異はほとんどない |
| EIN(入力換算雑音) | -127dBu以下 | -127dBV(A-weighted) | 同等 |
| ADコンバーター | デュアルADコンバーター(32-bit Float対応) | デュアルADC(32-bit Float対応) | 同等 |
| ストレージ(記録媒体) | SDカード(最大512GB) ×1スロット | SDカード(最大1TB) + 内蔵64GB SSD(デュアル同時バックアップ対応) | PR-4は2つのストレージに同時書き込み可能で、電源喪失時の緊急書き込み機能も搭載 |
| タイムコード同期 | 有線のみ(専用3.5mm端子、高精度ジェネレーター内蔵) | 有線(3.5mm) + ワイヤレスTC内蔵(Deityエコシステムと直接同期) | PR-4は同社のTC機器「TC-1」とケーブルレスで同期可能 |
| ミキシング機能 | ZOOM AutoMix機能 | VoiceAware Automix機能 | PR-4が優れている |
| 操作・UI | 側面の物理ノブ + 液晶画面 | 物理フェーダー + カラータッチパネル + スマホアプリ(Sidus Audio) | PR-4はフェーダーとゲインの調整が1つのノブで可能で、より使いやすい |
| ノイズリダクション | なし | AIによる人の声を背景よりもはっきりさせる機能 | PR-4が優れている |
| イコライザー | なし | 3バンド・パラメトリックイコライザー | PR-4が優れている |
| 電源仕様 | 単3電池×4、Lバッテリー(背面に直接装着)、USB-C | NP-F550バッテリー(ボディ内に収納)、ヒロセ4ピン(TA4)、USB-C | PR-4はヒロセ4ピンでエコシステムと連携し他機器へ電源供給も可能 |
| サイズ(W×H×D) | 100×119.8×62.9mm | 80×98×41mm | PR-4はより薄型・軽量 |
| 重量 | 520g(本体のみ) | 218g(本体のみ) | PR-4の軽さは現場で圧倒的に有利 |
| 実売価格(目安) | 約7万〜8万円前後 | 約6万〜7万円台(400ドル前後) | – |
この比較から、PR-4は後発機として、特に操作性、AIノイズ除去、イコライザー機能、そしてワイヤレスタイムコード同期においてF6を上回る優位性を持っていることが分かります。また、内部SSDとSDカードへの同時書き込み機能は、データバックアップの信頼性を高める上で非常に重要です。
プロフェッショナルな録音を支える機能群
直感的な操作性と高音質設計
PR-4は、映画録音に十分な低ノイズのマイクプリアンプと、音割れのリスクを排除する32bitフロート録音による広いダイナミックレンジを特徴としています。高出力ヘッドホンアンプも搭載されており、騒がしい現場でも録音状態を確実にモニタリングできます。XLR入力端子はマイク/ラインの切り替えやファンタム電源供給に対応し、プロが求める機能が網羅されています。
音響機能としては、2つのXLR端子でMSマイク入力や通常のステレオリンクが可能です。入力調整用のノブはフェーダーに割り当てられ、ボリュームノブをクリックするだけでマイクゲイン調整にアクセスできるため、SoundDevices社のMix-Preシリーズと同様の直感的な操作が可能です。カラータッチパネルと物理ボタン、ダイヤルを組み合わせたUIは、一般的なレコーダーの知識があればマニュアルなしでも操作できるほど洗練されています。
高性能AIノイズリダクションとパラメトリックイコライザー
PR-4は、2系統のノイズリダクション機能を備え、ステレオミックスや特定のチャンネルに柔軟に割り当てられます。AIノイズリダクションは、声の加工を最小限に抑えつつ背景音を調整し、現場での音質向上に貢献します。ただし、非常に静かな環境ではAIが迷うこともあるため、薄くノイズリダクションをかけるなどの調整が推奨されます。
さらに、各チャンネルまたはステレオミックスに適用できる3バンドのパラメトリックイコライザーも搭載。周波数帯域、ゲイン、Q値(帯域幅)を細かく調整できるため、マイクの特性補正や特定の音域の強調・抑制が現場で可能となり、後処理の負担を大幅に軽減します。これは、EQ機能が不足しがちな近年のレコーダーにおいて、PR-4の大きな強みと言えるでしょう。
業界標準のタイムコードシステム
DeityのTC-1は映画やテレビの現場で標準的なタイムコード同期機器となりつつありますが、PR-4はこのTC-1とファームウェアレベルで同期が可能です。有線・無線両方に対応し、マスター(親機)にもスレーブ(子機)にもなれるため、既存のTCシステムとの連携もスムーズです。Tentacle Syncシリーズとも簡単に同期でき、最大60fpsのタイムコードにも対応しています。PR-4単体で高精度なタイムコード管理ができることは、特にファイル数が多い映画録音の現場で編集作業の手間を最小限に抑える大きなメリットとなります。
Deityエコシステムで最小の映画録音システムを構築
専用ケージとオーディオバッグによる拡張性
PR-4には別売りの専用ケージと専用オーディオバッグが用意されており、これらを活用することで最小かつ堅牢な録音システムを構築できます。ケージは強固な金属製で、複数の三脚ネジ穴を備え、PR-4本体をしっかりと保護しながら高い拡張性を提供します。オーディオバッグも軽量かつ頑丈で、PR-4本体だけでなく受信機やケーブル類なども効率的に収納できる設計です。
4チャンネルという入力数に懸念を抱く声もありますが、PR-4は必要最小限の機材で最高のプロサウンドを録音するための「最小システム」を構築することを目的としています。ネイチャー録音、テレビロケ、報道、ワンマンオペレーションなど、小型・軽量システムが求められる現場で、それぞれのニーズに応じた柔軟な組み合わせが可能です。
パワーディストリビューションによる長時間稼働
Deity製品の大きなメリットは、多様なオプション機器によるエコシステムの活用です。特に、スマートバッテリー「S-95」とパワーディストリビューター「SPD-1/mini」を組み合わせることで、複数の機器への電力供給を一元管理し、バッテリー周りの煩雑さを解消できます。PR-4はヒロセ4ピンを備え、SPD-1 miniを介して適切な電圧を供給することで、最も省電力な状態で稼働し、バッテリーを長持ちさせます。
大容量のS-95バッテリーを使用すれば、PR-4と複数の受信機、アクティブアンテナシステムを接続しても40時間以上稼働するため、1日の撮影でバッテリー交換の心配はほとんどありません。USB-C PD給電/充電にも対応しており、充電器を持ち歩く必要がない点も現場での利便性を高めます。これにより、丸一日AC電源に頼ることなく撮影に臨める、ストレスフリーな録音環境が実現します。
【管理人の視点】日本のユーザーにとってのDeity PR-4
Deity PR-4は、日本の映像制作現場において、特に予算と機動性を重視するクリエイターにとって非常に魅力的な選択肢となるでしょう。実売価格が6万〜7万円台と、プロ仕様の4chレコーダーとしては非常にリーズナブルでありながら、32bitフロート録音やAIノイズリダクション、パラメトリックイコライザー、ワイヤレスタイムコード同期といった最新の機能を網羅しています。
日本の映画・ドラマ制作、ドキュメンタリー、CM撮影などでは、限られた予算の中でいかに高品質な音声を得るかが常に課題となります。PR-4の登場は、高価な機材に頼らずとも、劇場公開レベルのサウンドクオリティを実現できる可能性を示しています。特に、ワンマンオペレーションや少人数での制作現場では、その小型軽量設計がもたらす機動性の高さが、マイクワークの自由度を高め、結果としてより良い音響表現につながるでしょう。
Deityのエコシステム、特にスマートバッテリーとパワーディストリビューターとの連携は、日本の現場で懸念されがちなバッテリー管理のストレスを大幅に軽減します。これにより、撮影に集中できる環境が整い、制作効率の向上にも寄与するはずです。将来的には、より多チャンネル対応の「PR-8」の登場も噂されており、Deityの製品ラインナップが日本のプロフェッショナル市場にどのような影響を与えるか、今後の展開に注目が集まります。
こんな人におすすめ
- 映画やドキュメンタリー制作で高品質な音声を録音したいプロ。
- フィールドレコーディングや環境音の収録を重視するクリエイター。
- 小型・軽量で機動性の高い録音システムを求める映像制作者。
- 予算を抑えつつもプロレベルの音質と機能を追求したいユーザー。
まとめ
Deity PR-4は、そのコンパクトな筐体からは想像できないほど、プロフェッショナルな映画録音やフィールドレコーディングに必要な機能を網羅した革新的な4chレコーダーです。32bitフロート録音による広いダイナミックレンジ、AIノイズリダクション、そして業界標準のタイムコード同期機能は、高品質な音声収録を強力にサポートします。特に、ZOOM F6などの競合機と比較しても、後発ならではの優れた操作性とDeityエコシステムとの連携は大きな魅力です。軽量で機動性に優れるため、ワンマンオペレーションから本格的な映画制作まで、幅広い現場でその真価を発揮するでしょう。PR-4は、音響機材に新たな選択肢を提示し、映像制作の音声品質を向上させる可能性を秘めています。
情報元:PRONEWS

