アニメ制作現場における革新的なワークフローとして、Blackmagic DesignのDaVinci Resolve StudioとBlackmagic Cloudが、TVアニメ「ねこに転生したおじさん」のポストプロダクションに導入されたとPRONEWSが報じています。このシステムにより、遠隔地での共同作業や効率的な編集作業が実現し、多話数シリーズのアニメ制作に新たな可能性をもたらしました。
DaVinci ResolveとBlackmagic Cloudによる共同制作
Xで連載中の同名漫画を原作とするショートアニメシリーズ「ねこに転生したおじさん」は、ある日突然子猫に転生したサラリーマンが、勤め先の社長に溺愛される様子を描いた心温まるコメディです。本作のアニメーション制作は高知県のスタジオエイトカラーズが担当し、編集はNoovo Inc.の小町直氏が監督とともに東京で行いました。
監督からの要望でクラウドワークフローの導入が決まり、Blackmagic Cloudが採用されました。まずBlackmagic Cloud上にプロジェクトライブラリを構築し、素材の取り扱いに関するルールをスタッフ間で共有。スタジオエイトカラーズでは、ビデオコンテ(Vコン)をDaVinci Resolve上で作成し、クラウドを通じて共有できる体制を整えました。
Vコン完成後は「カッティング」と呼ばれる作業に進みます。アフレコ前の段階で、小町氏や監督がセリフを口に出しながらタイムラインを再生し、カットごとの尺を調整。このVコンを基にアフレコが実施され、収録された音声データがDaVinci Resolveのタイムラインに追加され、さらに詳細な尺調整が行われました。
アフレコ作業と並行して、スタジオエイトカラーズから色付きのアニメーション素材が共有され、これらをタイムラインに反映しながら編集作業が進められました。
場所を選ばない編集環境を構築
小町氏の自宅で仕込み作業が行われたため、Blackmagic Cloudの利点が最大限に活かされました。自宅に設置されたCloud Store Mini 8TBとスタジオ側のBlackmagic Cloud Podを連携させることでストレージが同期され、プロジェクトはBlackmagic Cloudのプロジェクトライブラリからアクセス可能に。これにより、場所を問わず作業できる環境が構築されました。
実際に、小町氏は京都出張中に急なカット差し替えの依頼が入った際、念のため持参していたSSD内の素材とホテルのWi-Fiを利用してプロジェクトを開き、迅速に対応できたと述べています。この柔軟性は、現代の多様な働き方に対応する上で大きな強みとなります。
ユニークなビジュアル表現と効率的なワークフロー
猫を主人公とする作品の世界観に合わせ、「ねこに転生したおじさん」ではトランジションにもオリジナルデザインが取り入れられました。肉球や猫の顔の形をモチーフにしたワイプがDaVinci ResolveのFusionページで作成されています。SVG形式のベクターデータをパスとして取り込み、マスクとして活用することで、独特のアニメーションを実現しました。
Fusionページのアニメカーブ機能を用いることで、トランジションの尺が変更されても自然な速度感を維持できるため、キーフレームをほとんど使用せずに済んだとのことです。
全48話という多話数シリーズであるため、作業効率の向上も重要な課題でした。このため、同じ作業を繰り返さないようスクリプトを用いたワークフローも導入されています。例えば、コンポジターから納品される素材に含まれる8フレーム分のボールド(スレート)を、スクリプトを使って自動的にイン点とアウト点を設定し、単純作業を自動化しました。トランジションやエンディングもテンプレートを自作し、スクリプトを活用することで、DaVinci Resolveの柔軟なカスタマイズ性がプロジェクトに最適なワークフロー構築に貢献しました。
【管理人の視点】日本のユーザーにとってのBlackmagic Cloudワークフロー
Blackmagic DesignのDaVinci Resolve StudioとBlackmagic Cloudの組み合わせは、日本の映像制作、特にアニメーション業界において大きな変革をもたらす可能性を秘めています。小規模なスタジオやフリーランスのクリエイターにとって、高価な専用システムを導入することなく、高品質なポストプロダクション環境を構築できる点は非常に魅力的です。
今回の事例が示すように、東京と地方のスタジオ間、あるいは自宅とオフィスといった物理的な距離を越えて、シームレスな共同作業が実現できるのは、リモートワークが普及する現代において大きなメリットです。特にアニメ制作では、多くの工程と関係者が関わるため、プロジェクトライブラリの共有やストレージの同期が容易になることで、コミュニケーションコストの削減や作業の迅速化が期待できます。
また、DaVinci ResolveのFusionページでオリジナルトランジションを作成したり、スクリプトを活用してルーティン作業を自動化したりする柔軟性は、日本のクリエイターが求める表現の自由度と効率性の両立に貢献します。初期投資を抑えつつ、プロフェッショナルな映像制作環境を構築したいと考える日本のユーザーにとって、Blackmagic Designのソリューションは今後ますます注目されるでしょう。
まとめ
TVアニメ「ねこに転生したおじさん」の制作において、Blackmagic DesignのDaVinci Resolve StudioとBlackmagic Cloudが、効率的かつ柔軟なポストプロダクションワークフローを実現しました。特に、遠隔地での共同作業を可能にするクラウド連携や、DaVinci Resolveの多機能性を活かしたユニークなビジュアル表現、そしてスクリプトによる作業の自動化は、多話数シリーズのアニメ制作における課題を解決し、制作効率を大幅に向上させました。
この導入事例は、Blackmagic Designのソリューションが、現代の映像制作現場に求められる柔軟性と効率性を提供し、今後のアニメーション業界におけるワークフローの標準化に貢献する可能性を示唆しています。
情報元:PRONEWS

