米メディアAndroid Authorityの報道によると、Googleは生成AIサービス「Gemini」のチャット履歴管理機能について、Google Workspaceの管理者向けコントロールを導入しました。これにより、企業は従業員のGemini利用におけるデータプライバシーとコンプライアンスをより厳格に管理できるようになります。
Geminiのデータ管理に新たな管理者コントロールを導入
これまで、Geminiユーザーは一時チャット機能を利用したり、会話履歴を個別に削除したりすることが可能でした。これは個人利用においては利便性が高いものの、企業環境では「シャドーIT」やデータ保持規制への対応、eDiscovery(電子情報開示)といったコンプライアンス上の課題を招く恐れがありました。
Google Workspaceの管理者は、この新しいコントロールを通じて、従業員が一時チャットを開始したり、過去の会話を削除したりする機能を明示的に有効または無効に設定できます。設定はドメイン全体に適用できるほか、特定の組織単位(OU)や個別のグループに対しても細かく調整が可能です。
これらの新機能はデフォルトで有効に設定されているため、IT部門が設定を変更しない限り、既存のGeminiワークフローに影響はありません。
Google Vaultとの連携とデータ保持の優先順位
企業がGoogle VaultをeDiscoveryや法的コンプライアンスのために活用している場合、Vaultのデータ保持ポリシーがユーザーによるチャット削除よりも優先されます。つまり、ユーザーが個人画面から会話を削除しても、Vaultにはその記録が保持されることになります。これにより、企業は必要なデータを確実に保持し、規制要件を満たすことが可能になります。
機能の展開スケジュール
管理者コンソールへの新機能の表示は、2024年6月15日から順次開始されています。一般ユーザーへのポリシー適用は、迅速リリースドメインと定期リリースドメインの両方で、2026年6月21日頃から段階的に実施される予定です。
【管理人の視点】日本の企業におけるAI利用とデータガバナンス
日本企業においても、生成AIツール「Gemini」の業務導入は進んでいますが、それに伴うデータガバナンスの確立は喫緊の課題です。今回のGoogle Workspace管理者向け機能の追加は、企業がAI利用におけるリスクを管理し、コンプライアンスを強化する上で非常に重要な一歩と言えるでしょう。
特に、機密情報の取り扱い、個人情報保護、そして法的要件への対応は、AIツールを安全に運用するための必須事項です。この新機能により、日本の企業は従業員によるGeminiの利用状況をより詳細に制御し、不用意な情報流出のリスクを低減できるようになります。
しかし、デフォルト設定が「有効」である点には注意が必要です。IT部門は、自社のセキュリティポリシーやデータ保持に関する規制(例:個人情報保護法、GDPRなど)を考慮し、積極的に設定を見直す必要があります。また、2026年6月という一般ユーザーへの適用開始時期はまだ先ですが、企業は今のうちからAI利用に関するガイドラインを策定し、従業員への周知徹底を図ることが求められます。
まとめ
Google GeminiのWorkspace管理者向けデータ管理機能は、企業のAIツール利用におけるコンプライアンスとセキュリティを大幅に向上させるものです。これにより、IT部門は従業員のAIチャット履歴をより適切に管理し、データ保持ポリシーを確実に適用できるようになります。企業が生成AIを安全かつ効果的に活用していく上で、このようなガバナンス機能の充実は不可欠であり、今後のさらなる機能強化にも注目が集まります。

