マンフロット ONE ハイブリッド三脚&500Xフルードヘッド:NAB 2026で見たミラーレス時代の新基準

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写真と動画、両方のコンテンツ制作を手がけるミラーレスカメラユーザーにとって、撮影現場での機材の切り替えや、それぞれの用途に特化した三脚の持ち運びは長年の課題でした。しかし、NAB 2026でマンフロットが披露した「ONE」ハイブリッド三脚と「500X」フルードヘッドの組み合わせは、この課題に対する強力なソリューションとして注目を集めています。このシステムは、静止画と動画の垣根を越え、クリエイターのワークフローを劇的に効率化する可能性を秘めています。

マンフロットは昨年夏のBILD Expoで「ONE」を初披露し、その開発背景には、一台のカメラで多様なコンテンツを生み出す現代のクリエイターのニーズがありました。今回NAB 2026で実機に触れる機会を得て、その革新的な機能と、現場での使い勝手の良さを詳しく見ていきましょう。

ハイブリッド撮影の新たなスタンダード:Manfrotto ONEのコンセプト

現代のコンテンツクリエイターは、SNSやウェブサイト、プロモーションビデオなど、様々なプラットフォーム向けに静止画と動画の両方を制作することが一般的です。ミラーレスカメラの進化により、一台のカメラで高品質な写真と動画を撮影できるようになりましたが、三脚システムは依然として「写真用」と「動画用」に分かれていることが多く、現場での使い分けや持ち運びが負担となっていました。マンフロット「ONE」は、まさにこの「どちらかを選ぶ」というジレンマを解消するために開発された、真のハイブリッド三脚システムです。

このシステムは、脚部、センターポール、そして新しいヘッドのすべてが「XCHANGEインターフェース」を採用しており、工具なしでスライダーや別のヘッドを同じベースに取り付けることができます。これにより、撮影の途中で静止画から動画へ、あるいは異なるアングルへの切り替えが驚くほどスムーズに行えます。例えば、ポートレート撮影からすぐにパンショットが必要な動画撮影へ移行する際も、三脚を交換する手間が省け、貴重な時間を節約できるのです。

脚部の設計にもハイブリッドの思想が色濃く反映されています。イタリア製のアルミニウム版とカーボンファイバー版は、いずれも非円形の断面を採用。これは、静止画撮影で求められる高い剛性と、動画の滑らかなパン撮影に不可欠なねじれ抵抗を両立させるための工夫です。脚部単体で最大15kgの耐荷重を誇り、対応ヘッドの5kg制限を大きく上回る設計は、将来的なより重い機材への対応も視野に入れていることを示唆しています。

ワークフローを劇的に変えるXCHANGEシステムとモジュラー式センターコラム

マンフロット「ONE」の心臓部とも言えるのが、その革新的な「XCHANGEシステム」と「モジュラー式センターコラム」です。これらの機能は、撮影現場でのセットアップとアングル調整の柔軟性を飛躍的に向上させます。

XCHANGEクイックリリースベースで機材交換を瞬時に

コラム上部に配置されたXCHANGEベースは、ツイストロック式のインターフェースを採用しており、500Xヘッドをアダプタープレートなしで直接装着できます。さらに、3/8″-16ネジ付きのXCHANGEプレートにも対応しているため、マンフロット以外の標準ネジを採用するヘッドやスライダー、その他のサポート機材もシステムに組み込むことが可能です。このプレートには回転防止用の歯が備わっており、一度取り付ければ確実に固定されるため、撮影中の不意な緩みを防ぎ、安定した撮影をサポートします。

XCHANGEプレートは別売りもされており、既存のスライダーやボールヘッドに装着することで、マンフロット「ONE」と他のリグとの間で機材を自由に移動させることができます。これは、複数のサポート機材を持つクリエイターにとって、クイックマウントシステムを統一し、エコシステム全体で効率的なワークフローを構築するための強力なツールとなるでしょう。

Q90メカニズムとグラウンドレベルモードでアングルを自在に

センターコラムには、マンフロット独自の「Q90メカニズム」が搭載されています。これにより、コラムを垂直に高くするだけでなく、一動作で水平に切り替えることが可能です。この水平ポジションは、オーバーヘッド撮影や製品撮影、フードフォト、フラットレイ撮影など、これまで専用の機材が必要だったアングルを、一台の三脚で実現します。静止画撮影だけでなく、チュートリアル動画の撮影など、多様なコンテンツ制作に対応できる汎用性の高さが魅力です。

さらに、コラムの下部セクションは専用レバーで工具なしで取り外すことができ、三脚を完全に広げた状態で、わずか19cmのグラウンドレベル撮影が可能になります。これは、コラム自体が地面に接触してカメラを低く設置できないといった状況で特に役立ち、クリエイティブなローアングルショットの可能性を広げます。最大伸長時は181cm、折りたたみ時は81cmと、収納時のコンパクトさも移動の多いクリエイターには嬉しいポイントです。

シングルレバー式脚展開とイージーリンクソケット

実物を手に取ってまず驚かされるのは、脚のロック解除システムです。各脚に備えられた1つのレバーで、全セクションを一気に解除できるため、通常のツイストロック式のようにセクションごとに操作する必要がありません。これにより、三脚の展開・収納が数秒で完了し、移動撮影や素早いアングル変更が求められる現場で、わずかな時間の節約が積み重なり、撮影日全体の効率を大きく向上させます。

また、上部鋳造部の側面には3/8″-16のイージーリンクソケットが設けられており、マンフロットのアンチローテーションアクセサリーを取り付けることができます。これにより、モニター、マイク、小型ライトなどを備えた関節式アームを、別途スタンドを用意することなく三脚本体に直接取り付けることができ、機材のセットアップを簡素化し、よりコンパクトな撮影環境を実現します。

500Xフルードヘッド:縦位置撮影対応でクリエイターを強力サポート

「ONE」三脚と同時に発売された「500X」フルードヘッドは、現代の動画クリエイター、特にSNSコンテンツを多用するユーザーのニーズに応えるべく設計されています。このヘッドは、三脚システム全体のハイブリッドコンセプトを完成させる重要な要素です。

500Xは、60mmフラットベースのフルードビデオヘッドで、最大積載量は5kg(11ポンド)です。これは、一般的なミラーレスカメラにレンズ、モニター、オンカメラマイク、さらにいくつかのアクセサリーを装着した機材構成を十分にカバーできる容量です。オン/オフカウンターバランス機能と、パン・チルト両方のフルイドドラッグを備えており、滑らかで安定したカメラワークを実現します。スライド式カメラプレートも搭載されているため、重心調整も容易です。

このヘッドの最大の特徴は、カメラを再マウントすることなく、横位置から縦位置へ切り替えられるヒンジ付きプレートです。InstagramのリールやTikTok、YouTubeショートなど、縦位置コンテンツの需要が爆発的に高まっている現在、この機能はクリエイターにとって非常に大きなメリットとなります。従来のヘッドでは、縦位置撮影のためにL字プレートを使用したり、カメラ本体をクランプから外して再設置したりする手間がありましたが、500Xはワンタッチで切り替えが可能。これにより、撮影日の煩わしい作業が解消され、クリエイティブな表現に集中できる時間を増やします。

500Xは箱から出してすぐにXCHANGE対応となっており、ワンタッチで「ONE」三脚に取り付けられ、回転防止歯によって確実にロックされます。また、標準的な3/8インチ-16マウントにも取り付けられるため、マンフロット製以外の三脚と組み合わせる場合でも、幅広い機材環境において活用できる汎用性の高さも魅力です。キットには、コンパクトなミラーレスボディ用に特別に設計された小型カメラプレートが同梱されていますが、既存のリグで既にそのフォーマットを使用しているユーザー向けに、同社の標準的な長尺プレートも別売アクセサリーとして用意されています。

Manfrotto ONEは誰におすすめ?ハイブリッドクリエイターのワークフロー変革

マンフロット「ONE」ハイブリッド三脚と500Xフルードヘッドの組み合わせは、特定のニーズを持つクリエイターにとって、まさに理想的なソリューションとなり得ます。

  • 静止画と動画を一本のカメラで撮影するプロ・ハイアマチュア: ミラーレスカメラを駆使し、写真と動画の両方で高品質なコンテンツを制作するクリエイターにとって、機材の切り替えの手間を省き、ワークフローを一本化できることは大きなメリットです。
  • 撮影現場での機材交換の手間を省きたいクリエイター: 複数の三脚を持ち運んだり、ヘッドを頻繁に交換したりすることなく、様々な撮影スタイルに素早く対応したいと考えるユーザーに最適です。XCHANGEシステムは、このニーズに完璧に応えます。
  • 多様なアングル(低位置、オーバーヘッド、縦位置)を素早く実現したいユーザー: Q90メカニズムによる水平撮影や、モジュラー式センターコラムによるグラウンドレベル撮影、そして500Xヘッドの縦位置撮影対応は、クリエイティブな表現の幅を広げ、撮影の可能性を最大限に引き出します。
  • 機材の軽量化・効率化を求める人: 一台で多くの役割をこなせるため、持ち運ぶ機材の総量を減らし、セットアップ時間を短縮できます。特にロケ撮影が多いクリエイターにとっては、この効率性は計りつきません。
  • 従来の三脚システムからの買い替えを検討している人: 現在の三脚システムに不満があり、より現代的なハイブリッド撮影に対応できるソリューションを探しているなら、「ONE」は強力な候補となるでしょう。

このシステムは、単なる三脚の進化に留まらず、現代のコンテンツ制作におけるワークフローそのものを変革する可能性を秘めています。特に、SNSでの発信が不可欠な時代において、縦位置コンテンツへのスムーズな対応は、クリエイターの競争力を高める重要な要素となるでしょう。

価格と発売時期

マンフロット「ONE」システムは現在出荷中で、以下の4つの構成で提供されています。

  • アルミ製脚単体:499米ドル
  • カーボンファイバー製脚単体:719米ドル
  • 500Xヘッドとキャリングバッグが付属するアルミニウムキット:679米ドル
  • 500Xヘッドとキャリングバッグが付属するカーボンキット:879米ドル

また、別売りの500Xヘッドは約220米ドルで、追加のXCHANGEプレートもアクセサリーとして用意されており、既存のサポート機材にシステムを拡張することができます。

まとめ

マンフロット「ONE」ハイブリッド三脚と500Xフルードヘッドは、静止画と動画の境界が曖昧になりつつある現代のコンテンツ制作において、クリエイターが直面する多くの課題に対する包括的な答えを提供します。XCHANGEシステムによる迅速な機材交換、Q90メカニズムとモジュラー式センターコラムによる多様なアングル対応、そして500Xヘッドの縦位置撮影機能は、撮影ワークフローを劇的に効率化し、クリエイティブな表現の可能性を広げるでしょう。この革新的な三脚システムは、ミラーレスカメラを最大限に活用し、より柔軟で効率的な撮影環境を求めるすべてのクリエイターにとって、強力な味方となるに違いありません。

情報元:CineD

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