富士フイルム GFX ETERNA 55 ファームウェア 1.06公開:モニター遅延、AF、F-Log2Cの課題を解決しプロの現場を強化

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富士フイルムは、同社のラージフォーマットシネマカメラ「GFX ETERNA 55」向けにファームウェアバージョン1.06をリリースしました。このアップデートは、プロの映像制作現場で特に重要となる外部モニターの表示遅延の改善、FUJINON Duvoシリーズレンズ使用時のカメラフリーズ問題の解決、オートフォーカス(AF)の安定性向上、そしてF-Log2Cでのバンディング修正など、多岐にわたる重要な改善を含んでいます。NAB 2026を目前に控えたこのリリースは、富士フイルムがシネマカメラ市場におけるGFX ETERNA 55の地位を確固たるものにするための継続的な取り組みを示しています。

富士フイルム GFX ETERNA 55 ファームウェアアップデート

4K 4:3モードにおける外部モニター遅延の劇的な改善

今回のファームウェア1.06の最も注目すべき改善点の一つは、GFX ETERNA 55のネイティブ4K 4:3オープンゲートモードにおける外部モニターの表示遅延の改善です。以前のファームウェア1.04では、16:9および17:9フォーマットでのSDI/HDMIモニタリング遅延が約40ms短縮されましたが、今回のアップデートは特に4K 4:3モードに焦点を当てています。

この改善は、SDI/HDMI出力RAW設定をOFFに設定し、ProRes HQ、ProRes 422、またはProRes LTで内部記録を行う場合に適用されます。具体的な遅延短縮時間は明示されていませんが、このモードは多くのプロフェッショナルが最高の画質を得るために選択する一般的な内部記録ワークフローであり、シビアなフォーカス合わせやフレーミングが求められるシネマ撮影において、モニターの遅延は撮影の精度に直結します。遅延が短縮されることで、カメラオペレーターはよりリアルタイムに近い映像を確認しながら、正確な操作を行うことが可能となり、撮影現場のストレス軽減と効率向上に大きく貢献します。

AF、再生、レンズ互換性に関する重要なバグ修正

ファームウェア1.06では、撮影現場での信頼性を高めるための複数のバグ修正も実施されています。

FUJINON Duvoシリーズレンズ使用時のフリーズ問題解決

最も重大な修正の一つは、FUJINON Duvoシリーズレンズ使用時に録画中にエクステンダーを有効にするとカメラが完全にフリーズしてしまう問題の解決です。FUJINON Duvoシリーズは、シネマと放送の両方の用途に対応するハイブリッドなズームレンズであり、マルチカム環境での使用も想定されています。このような状況でカメラがフリーズすることは、撮影の中断や貴重な時間のロスに直結するため、プロの現場にとっては非常に深刻な問題でした。今回の修正により、Duvoレンズのユーザーは安心して撮影に集中できるようになります。

オートフォーカス(AF)の安定性向上

オートフォーカスに関する2つの不具合も修正されました。一つは、MULTIとTRACKING AFモードを切り替えた際に、まれにAREAモードが誤って起動してしまう問題です。もう一つは、FOCUS LEVER SETTINGが「PUSH TO UNLOCK」に設定されているとAFトラッキングが機能しない問題です。これらの修正により、AFの挙動がより予測可能になり、特に動きの速い被写体を追う撮影や、AFを多用するワークフローにおいて、安定したフォーカス性能が期待できます。

再生時の不具合解消

再生面では、レビュー中にクリップが再生されない問題や、記録メディアがない状態で再生画面を開くと予期せぬ画面が表示される問題が修正されました。これらの軽微な問題も、撮影後の確認作業やデータ管理のワークフローをスムーズにする上で重要な改善です。

F-Log2Cのバンディング修正と3D LUTの更新

高彩度の照明下でF-Log2C設定のデフォルトLUTを適用すると、バンディング(グラデーションが滑らかでなく、縞模様のように見える現象)が発生することがありました。F-Log2Cは、GFX ETERNA 55が持つ広大なダイナミックレンジを最大限に引き出すためのログガンマ設定であり、ポストプロダクションでのカラーグレーディングにおいて高い自由度を提供します。しかし、バンディングが発生すると、せっかくの高品質な映像素材が損なわれてしまいます。

今回のアップデートでは、このバンディング問題が修正され、それに伴い3D LUT「F-Log2C_to_WDR」がバージョン1.00から1.10に更新されました。この新しいLUTは、富士フイルムのサポートページからダウンロード可能です。F-Log2Cで撮影するユーザーは、ファームウェアアップデートと合わせてこの最新のLUTを適用することで、よりクリーンで滑らかなグラデーションを持つ映像を得られるようになります。これは、最終的な映像作品の品質を向上させる上で非常に重要なポイントです。

FUJINON GF32-90mm T3.5 PZ OIS WRレンズのファームウェア1.02アップデート

GFX ETERNA 55本体のファームウェアアップデートと同時に、FUJINON GF32-90mm T3.5 PZ OIS WRレンズ向けにもファームウェアバージョン1.02がリリースされました。このアップデートにより、フォーカスリング使用時のフォーカス応答性が向上し、その他の軽微な修正も行われています。

FUJINON GF32-90mm T3.5 PZ OIS WRは、パワーズーム(PZ)と光学手ブレ補正(OIS)を搭載したGFXシステム用のズームレンズであり、特に動画撮影においてその利便性が高く評価されています。フォーカスリングの応答性向上は、マニュアルフォーカスでの精密なピント合わせや、フォローフォーカスシステムとの連携において、より直感的でスムーズな操作感を提供します。このレンズのアップデートは、GFX ETERNA 55またはGFX100 IIのいずれかのカメラと組み合わせて行う必要があります。

ファームウェアアップデートの手順と注意点

両方のファームウェアアップデートは、富士フイルムが定める標準的な手順に従って行われます。まず、富士フイルムのサポートページから最新のファームウェアファイルをダウンロードし、フォーマット済みのSDカードにコピーします。その後、カメラのメニューからアップデートを実行します。カメラ本体のアップデートには約10分、レンズのアップデートには約5分かかるとされています。

GFX ETERNA 55のファームウェアは、バージョン1.04または1.05から直接バージョン1.06に適用可能です。アップデート作業を行う際は、バッテリー残量が十分にあることを確認し、途中で電源を切らないよう注意が必要です。また、レンズのアップデートはGFX ETERNA 55またはGFX100 IIのいずれかのカメラに装着して行う必要があるため、該当するユーザーは両方のカメラの準備が必要です。

こんな映像制作者におすすめ

今回のファームウェアアップデートは、特に以下のような映像制作者に大きなメリットをもたらします。

  • GFX ETERNA 55をメイン機として使用するシネマトグラファー: 外部モニター遅延の改善は、特に厳密なフォーカスやフレーミングが求められるプロの現場で、撮影の精度と効率を大幅に向上させます。
  • FUJINON Duvoシリーズレンズを運用するプロダクション: カメラフリーズ問題の解決は、マルチカム環境での信頼性を高め、撮影の中断リスクを低減します。
  • F-Log2Cで広ダイナミックレンジ撮影を行うユーザー: バンディング修正と最新LUTの適用により、ポストプロダクションでのカラーグレーディングの自由度を保ちつつ、より高品質で滑らかな映像表現が可能になります。
  • FUJINON GF32-90mm T3.5 PZ OIS WRレンズを使用するユーザー: フォーカスリングの応答性向上は、マニュアルフォーカス操作の快適性を高め、より直感的なピント合わせを実現します。

これらの改善は、GFX ETERNA 55がプロフェッショナルな映像制作ツールとして、さらに洗練され、信頼性の高い選択肢となることを示しています。

まとめ:プロのニーズに応える継続的な進化

富士フイルムのGFX ETERNA 55ファームウェア1.06のリリースは、同社がシネマカメラ市場のプロフェッショナルなニーズに真摯に応え、製品の継続的な改善に注力していることを明確に示しています。外部モニター遅延の改善、主要レンズとの互換性問題の解決、AF性能の向上、そして画質に関わるF-Log2Cのバンディング修正は、いずれも実際の撮影現場で直面する課題を解決し、クリエイターがより安心して、そして高品質な映像制作に集中できる環境を提供します。

NAB 2026を目前に控えたこのタイミングでのアップデートは、今後の富士フイルムのシネマ関連製品や技術発表への期待をさらに高めるものと言えるでしょう。GFX ETERNA 55ユーザーは、今回のアップデートを適用することで、カメラの性能を最大限に引き出し、より安定したプロフェッショナルなワークフローを享受できるはずです。

情報元:CineD

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