革新的なデザインと携帯性で人気を集める折りたたみスマートフォン。しかし、その魅力の裏には、まだ解決すべき課題が潜んでいるようです。長年Samsungの折りたたみスマホ「Galaxy Z Flip」シリーズを愛用してきたユーザーが、度重なるデバイスの故障と、それに対するメーカーのカスタマーサポートの対応に失望し、最終的に通常のスマートフォン「Galaxy S26 Ultra」への乗り換えを決断した事例が報じられました。この出来事は、折りたたみスマホの耐久性、そして高価な最新ガジェットを支えるべきメーカーサポートのあり方に、改めて疑問を投げかけています。
折りたたみスマホの宿命?繰り返されるディスプレイとヒンジの問題
筆者の妻は、2022年のGalaxy Z Flip 4以降、Z Flip 5、Z Flip 6と3世代にわたってフリップ型スマホを使い続けてきました。そのコンパクトなフォームファクターは、従来のスマートフォンが抱えていた不満を解消し、彼女にとって理想的なデバイスだったといいます。しかし、その愛用期間は、同時にデバイスの耐久性に関する厳しい現実を突きつけるものでした。

特に深刻だったのは、購入からわずか6ヶ月で発生したGalaxy Z Flip 5のディスプレイ故障です。落下や外部からの衝撃があったわけではなく、ヒンジ部分を保護するゴム製ガスケットが緩み、内部に塵が侵入したことが原因で画面が機能しなくなりました。通常であれば保証期間内の自然故障として修理が期待されますが、Samsungの公式ストアでは「この部品は故障しないように設計されている」という理由で保証対象外とされ、修理には304ポンド(約6万円)もの費用がかかると告げられました。幸い保険に加入していたため費用は免れましたが、メーカーの対応はユーザーに大きな不信感を抱かせました。
さらに、Galaxy Z Flip 6では、18ヶ月の所有期間中にスクリーンプロテクターの交換が2度必要となりました。これは比較的軽微な問題で、英国では保証期間中であれば無制限に交換サービスが提供されています。しかし、2度目の交換を依頼した際、修理パートナーであるEEの店舗では、デバイスの工場出荷時リセットを求められた上、ヒンジに「ずれ」があるとして修理を拒否されました。この「ずれ」の修理には350ポンド(約7万円)以上の費用がかかるとされ、保証期間が過ぎていたこともあり、ユーザーは修理を断念せざるを得ませんでした。

これらの事例は、折りたたみディスプレイの構造的な脆弱性と、それを保護する部品の信頼性、そしてヒンジ機構の精密さが、まだ完璧ではないことを示唆しています。高価なデバイスであるにもかかわらず、日常的な使用の中で予期せぬ故障が発生し、その度に高額な修理費用や保証の壁に直面することは、ユーザーにとって大きな負担となります。
ユーザーを追い詰めるSamsungのカスタマーサポート体制
今回の事例で特に問題視されているのは、Samsungのカスタマーサポートの対応です。Z Flip 5のディスプレイ故障に対する「故障しないはず」という説明は、ユーザーの過失ではない自然故障を認めない姿勢として受け取られかねません。また、Z Flip 6のヒンジの「ずれ」についても、外見上は問題がないにもかかわらず修理を拒否されたことは、ユーザーの不満を決定的なものにしました。
元記事の筆者は、RedditやSamsungの公式フォーラムを少し調べただけでも、同様の劣悪なカスタマーサポート体験が多数報告されていることに言及しています。これは、個別の事例ではなく、Samsungのサポート体制全体に根深い問題がある可能性を示唆しています。高額なフラッグシップモデルを購入したユーザーが、いざという時に適切なサポートを受けられない状況は、ブランドへの信頼を大きく損なう要因となります。
特に、折りたたみスマホのような新しい技術を採用したデバイスは、従来のスマホよりもデリケートである可能性があり、メーカーはより手厚いサポートを提供すべきだという意見も少なくありません。技術的な革新だけでなく、それを支えるアフターサービスもまた、製品の価値を決定する重要な要素であることを、この事例は浮き彫りにしています。
なぜそれでもSamsungを選んだのか?エコシステムとS Penの引力
度重なる不満にもかかわらず、筆者の妻が最終的に選んだのが、他社製ではなくSamsungの「Galaxy S26 Ultra」であったことは注目に値します。その背景には、長年培われたSamsungのエコシステムへの慣れと、特定の機能への強い依存がありました。

彼女にとって、Samsung独自のUIである「One UI」は手放せない存在でした。特に、Androidのジェスチャーナビゲーションをカスタマイズできる「Good Lock」アプリの「One Hand Operation+」は、もはや身体の一部となるほど使いこなしており、他のブランドのスマートフォンでは代替が効かないと感じていたようです。筆者のPixel 10 Proを試用した際も、One UIの機能がないことに不満を感じ、移行を断念しました。
さらに、Galaxy SシリーズのUltraモデルに搭載される「S Pen」も、彼女がSamsungを選び続ける大きな理由となりました。絵を描くのが趣味である彼女にとって、S PenはiPadとApple Pencilを持ち歩く必要がなくなるほど強力なツールであり、その利便性は他のデメリットを上回るものでした。この事例は、特定のメーカーが提供する独自のソフトウェア体験やハードウェア機能が、ユーザーを強く引きつけ、ブランドスイッチを困難にする「エコシステムロックイン」の典型的な例と言えるでしょう。
Galaxy S26 Ultraへの移行がもたらすメリットと課題
Galaxy Z Flip 6からGalaxy S26 Ultraへの移行は、彼女にとって多くのメリットをもたらしました。S26 Ultraは、そのサイズゆえにポケットへの収まりや片手での操作性においてZ Flipシリーズに劣るものの、それ以上に魅力的な要素が多数ありました。

まず、S26 Ultraは、従来のUltraモデルよりも軽量化され、丸みを帯びたデザインになったことで、長時間の使用でも快適性が向上しています。また、プライバシーディスプレイや、Z Flip 6から大幅に進化を遂げたカメラ性能、そしてS Penの変わらぬ利便性は、彼女のクリエイティブな活動を強力にサポートします。バッテリー持続時間も、Z Flipシリーズの最大18時間に対し、S26 Ultraでは少なくとも36時間と大幅に改善され、日常使いにおけるストレスが軽減されました。
この移行は、折りたたみスマホの利便性を享受しつつも、耐久性やサポートの不安から解放されたいというユーザーのニーズを反映しています。最新のフラッグシップモデルであるS26 Ultraは、折りたたみスマホがまだ完全に満たせていない「信頼性」と「安定性」という点で、ユーザーに安心感を提供していると言えるでしょう。
読者への影響と今後の展望:折りたたみスマホの普及に必要なもの
今回の事例は、折りたたみスマホの購入を検討している多くの読者にとって、非常に示唆に富むものです。革新的な技術は魅力的ですが、その裏にある耐久性の課題や、万が一の際のメーカーサポートの質は、高価なデバイスを選ぶ上で決して無視できない要素です。
筆者は、自身がプレス向けに提供されたZ Fold 7を非常に高く評価しつつも、「自分の金ではSamsungの折りたたみスマホを買わない」と断言しています。これは、製品自体の性能とは別に、過去のサポート体験が購入意欲に強く影響していることを示しています。ユーザーは、単に高性能なデバイスを求めているだけでなく、安心して長く使える信頼性と、困った時に頼れるサポート体制を求めているのです。
折りたたみスマホが今後さらに普及し、メインストリームとなるためには、ディスプレイやヒンジといった主要部品の耐久性向上はもちろんのこと、万が一の故障に対するメーカーの保証体制と、迅速かつ公正なカスタマーサポートの確立が不可欠です。技術の進化と同時に、ユーザー体験全体を向上させるための努力が、メーカーには強く求められています。
こんな人におすすめ
- 折りたたみスマホの購入を検討しているが、耐久性やサポートに不安を感じている人。
- Samsung製スマートフォンの購入を考えているが、メーカーサポートの実態を知りたい人。
- 現在のスマートフォンに不満があり、買い替えを検討している人、特にS Penの機能に魅力を感じている人。
まとめ
Samsung Galaxy Z Flipシリーズを長年愛用してきたユーザーが、度重なる故障と劣悪なカスタマーサポートに直面し、最終的にGalaxy S26 Ultraへ移行した事例は、折りたたみスマホ市場が抱える課題を浮き彫りにしました。革新的なフォームファクターは魅力的である一方、ディスプレイやヒンジの耐久性、そしてそれらを支えるメーカーのサポート体制は、まだ改善の余地があると言えます。ユーザーが安心して高価なデバイスを使い続けるためには、技術の進化だけでなく、信頼できるアフターサービスが不可欠です。今後の折りたたみスマホ市場の発展には、この「信頼性」という要素が鍵となるでしょう。

