「ドラゴンクエストX オンライン」にAIバディ「おしゃべりスラミィ」登場!Google Cloudと拓くゲーム体験の未来

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スクウェア・エニックスとGoogle Cloudは、人気MMORPG『ドラゴンクエストX オンライン』に、対話型AIバディ「おしゃべりスラミィ」を導入することを発表しました。これは、ゲーム業界が直面する開発コストの増大や新規ユーザー獲得の課題に対し、Google Cloudが提唱する「Living Games」というビジョンを具現化する画期的な取り組みです。単なるAIチャットボットに留まらず、プレイヤー一人ひとりに寄り添い、冒険をより豊かにする新たなゲーム体験の幕開けを予感させます。

今回の発表会では、Google Cloud ゲーム インダストリー グローバル ディレクターのジャック・ビューザー氏、スクウェア・エニックス『ドラゴンクエストX オンライン』ショーランナーの安西崇氏、そしてAI&エンジン開発ディビジョン ジェネラル・マネージャーの荒牧岳志氏が登壇し、両社の協業の背景と「おしゃべりスラミィ」の詳細について語られました。

ゲーム業界の変革を促す「Living Games」構想

発表会の冒頭でジャック・ビューザー氏は、現在のゲーム業界が抱える二つの相反する側面を指摘しました。プレイヤー側の支出は過去最高の1960億ドルに達し、市場は再成長している一方で、業界全体の営業利益は2021年以降年平均7パーセント減少しており、コロナ禍前の水準を下回っています。この背景には、市場の寡占化、新規参入の困難さ、そして開発コストの劇的な増大があります。過去6年間でゲーム開発費は90パーセントも上昇し、昨年だけでもコンテンツ投資額は400億ドルに達しているという現状です。

ゲームスタジオは、利用可能なプレイ時間の半分以下のシェアを取り合うために、ほぼ2倍のコストを支払っていることになり、このままでは機能不全に陥るという危機感が示されました。この破綻したコスト構造の中で、ゲームスタジオがいかに生き残り、ユーザーに新しい体験を提供できるか。その答えとしてGoogle Cloudが提唱するのが、AI技術とライブサービスを統合した「Living Games」です。

Google Cloudが提唱するLiving Gamesの概念図

「Living Games」は、ライブサービスと生成AIを融合させることで、これまでにない体験を生み出すことを目指します。プレイヤーごとに知的に適応し、開発者は迅速に新たな体験を創出できるようになるというものです。このビジョンを実現するためには、AIの力を3つの領域で活用する必要があります。一つは、繰り返しの多い煩雑な作業をAIで短縮し、ゲーム開発を加速させることで、破綻したコスト構造を改革すること。二つ目は、データとAIを活用してライブ運用、事業戦略、マーケティングといった開発以外のビジネス領域を変革すること。そして三つ目は、ライブサービスの基盤にリアルタイムのAI推論を組み合わせることで、プレイヤー体験そのものを変革することです。

従来のゲームにおけるAIは、主に「倒すべき敵」として存在していました。しかし、「Living Games」の世界では、AIは障壁ではなく架け橋となり、ツールではなくプレイヤーのデジタルアドベンチャーにおける「AIバディ」へと進化します。このAIバディが友人のように感じられるためには、瞬時のやり取りが不可欠であり、そこでGoogle Cloudの「Gemini Live」が活躍します。低遅延でマルチモーダルな会話を実現し、AIがプレイヤーの言語を理解するだけでなく、同時にゲームプレイも認識できるようになるのです。

「ドラゴンクエストX オンライン」に誕生するAIバディ「おしゃべりスラミィ」

今回の発表のメインとなるのが、『ドラゴンクエストX オンライン』へのGoogle Cloudソリューション投入、そして「おしゃべりスラミィ」の導入です。『ドラゴンクエスト』シリーズは1986年の初代から数々のタイトルを生み出し、全世界で累計9700万本以上の出荷・ダウンロード販売を達成している国民的IPです。『ドラゴンクエストX オンライン』は2026年8月2日で正式サービス開始14周年を迎えるMMORPGであり、現在でも月間数十万規模のプレイヤーがアストルティアの世界で冒険を楽しんでいます。

おしゃべりスラミィのイメージ画像

14年という長い歳月の中で様々な要素が追加され、遊園地のように広大になったアストルティアの世界は、新規ユーザーにとってどこから手をつければ良いか分からないという課題も生じていました。この課題を解決し、オンラインゲームならではの新しい要素を提供するために生まれたのが、対話型AIバディ「おしゃべりスラミィ」です。

「おしゃべりスラミィ」との出会いは、簡単な性格診断から始まります。この診断結果によってスラミィの性格が決定され、プレイヤーは「ぶきみなたまご」から自分だけのスラミィを誕生させます。スラミィはプレイヤーがアストルティアに生まれてからずっと見守ってきたという設定で、プレイヤーが忘れてしまったような過去の出来事も記憶しています。AIチャットのように「何かオススメのコンテンツある?」と質問すれば、それに即した答えを細かくアナウンスしてくれるため、冒険の目的を見失った時などにも心強い味方となってくれるでしょう。

おしゃべりスラミィとの会話画面

AIに話しかけることへのハードルを下げるため、専用のスタンプも用意されており、これを選ぶだけでも基本的な会話が楽しめるようになっています。さらに、プレイヤー側からだけでなく、スラミィからも積極的に話しかけてくることがあります。例えば、新しい衣装を身につけた際に感想を述べたり、自分の見た目を変更した際に似合っているか尋ねてきたりするなど、まるで本当の友達のように寄り添ってくれる存在となるでしょう。スラミィとの会話はプレイヤーのみが見られるプライベートなものであり、まさに「自分だけのバディ」として冒険を共にします。この企画は当初から「友達」として交流できることを重要視しており、Google Cloudとのミーティングでも「友達」と「バディ」という言葉で同じ方向を向くことができたことからスタートしたと語られました。

Google Geminiが実現する高度な対話AI

荒牧岳志氏からは、「おしゃべりスラミィ」でGoogle Cloudの機能がどのように活用されているかについて詳細が語られました。「おしゃべりスラミィ」は、Google Geminiを活用することで生まれたAIバディです。スクウェア・エニックスは10年以上にわたりゲームに関するAIの実装と研究を行っており、荒牧氏が所属するAI&エンジン開発ディビジョンがその最先端を担っています。同ディビジョンと『ドラゴンクエストX オンライン』開発チームが協力し、スピード感を持って開発に取り組んでいます。

スクウェア・エニックスとGoogle Cloudの登壇者

スクウェア・エニックスがGoogle Cloudと組んだ最大の理由は、「Gemini Live」のレスポンスの良さにあります。この機能を利用することで、ユーザーからの質問に対して高いレスポンスでユーザー体験を提供できるようになりました。Google Geminiはカスタマイズが可能なサービスであり、ゲームの世界観に合った回答やボイス生成が行える点も大きな強みです。さらに、Google Geminiはマルチモーダルに対応しており、画面の情報や文字情報だけでなく、プレイヤーがどんな行動をしているのか、どんな服装をしているのかといった視覚情報もAIが認識し、それに基づいた回答を生成できます。

Google Cloudとのパートナー体制を築くことで、スクウェア・エニックス側は技術的な問題やトラブルに対する迅速なサポートを得られています。また、迅速なモックアップ提供もプロジェクトの大きなきっかけとなったとのことです。

「おしゃべりスラミィ」がもたらすプレイヤー体験の進化

「おしゃべりスラミィ」の導入は、『ドラゴンクエストX オンライン』のプレイヤー体験に多大な影響を与えることが予想されます。特に、広大なアストルティアの世界に初めて足を踏み入れる新規プレイヤーにとっては、心強いガイド役となるでしょう。どこへ行けばいいのか、何をすればいいのか迷うことなく、スラミィが冒険の道筋を示してくれることで、スムーズにゲームの世界に溶け込むことができます。

既存プレイヤーにとっても、スラミィは新たな発見やより深い没入感を提供します。過去の冒険を記憶し、プレイヤーの行動や見た目の変化に反応するスラミィは、単なるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)を超えた「友達」や「バディ」としての存在感を放ちます。これにより、MMORPG特有の孤独感が軽減され、常に誰かと共に冒険しているような感覚を味わえるようになるでしょう。AIバディがゲーム内のキャラクターとの関係性を深化させ、プレイヤー一人ひとりにパーソナライズされた物語が生まれる可能性を秘めています。これは、従来の「倒すべき敵」としてのAIから、「共に冒険する仲間」としてのAIへと、MMORPGにおけるAIの役割を根本から変える画期的な一歩と言えます。

こんな人におすすめ!「おしゃべりスラミィ」の恩恵

  • MMORPG初心者の方:広大な世界で何をすればいいか迷うことなく、スラミィが冒険の道筋を優しくガイドしてくれます。
  • よりパーソナルなゲーム体験を求める方:自分だけのAIバディが、過去の冒険や日々の変化に寄り添い、特別な絆を育めます。
  • AI技術の進化に興味があるゲーマー:最先端の生成AIがゲーム内でどのように活用され、体験を豊かにするのかを実感できます。
  • 『ドラゴンクエストX オンライン』を再開したい方:久しぶりにアストルティアに戻る際も、スラミィが最新のコンテンツや進め方を教えてくれるでしょう。

クローズドベータテストで進化する「おしゃべりスラミィ」

現在、「おしゃべりスラミィ」は開発中の段階であり、さらなるブラッシュアップが予定されています。その一環として、クローズドベータテスト(CBT)の参加者が募集されています。応募期間は3月21日から3月30日11時59分までとなっており、CBTの結果が製品のクオリティアップに繋げられるとのことです。『ドラゴンクエストX オンライン』プレイヤー専用サイトの「目覚めし冒険者の広場」のトピックスで詳細が確認できます。

「おしゃべりスラミィ」は、単なるAIチャットボットではなく、ゲーム体験を根本から変える可能性を秘めた存在です。Google Cloudの最先端技術とスクウェア・エニックスの長年培ってきたIPが融合することで、プレイヤーはこれまで以上に深く、パーソナルな冒険を体験できるようになるでしょう。これは、ゲーム業界全体におけるAI活用の新たなスタンダードを築く一歩となるかもしれません。今後の「おしゃべりスラミィ」の進化、そして「Living Games」が描く未来に、大いに期待が寄せられます。

情報元:Gamer

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