AIを頻繁に使う人はどんな人? 最新研究が示す「ダークパーソナリティ」との意外な関係

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ChatGPTをはじめとする生成AIは、私たちの働き方や情報収集の方法に革命をもたらしつつあります。しかし、実際にはほとんどの人がAIを日常的には利用していないという調査結果が報告されました。さらに興味深いことに、AIを頻繁に利用する人々には、特定の心理的特徴、いわゆる「ダークパーソナリティ」との関連性が見られることが、最新の研究で明らかになりました

AI利用の実態:多くの人はまだ「時々使う」程度

今回の研究によると、AI技術が急速に普及しているにもかかわらず、ほとんどの人はAIを日常的に使用するには至っていないことが示されました。多くの回答者は、AIを「全く使わない」か「ほとんど使わない」と回答しており、生成AIが一部のアーリーアダプターや特定の業務で活用されている一方で、社会全体への浸透はまだ限定的であることが伺えます。

これは、AIの能力に対する不信感、プライバシーへの懸念、あるいは単純に日常生活での必要性を感じていないなど、様々な要因が考えられます。


AIヘビーユーザーと「ダークトライアド」の関連性

この研究の最も注目すべき点は、AIの利用頻度が高い人々が持つパーソナリティ特性についての分析です。調査の結果、**ナルシシズム(自己愛)、マキャベリズム(目的のためなら手段を選ばない)、サイコパシー(共感性の欠如)**といった「ダークトライアド」と呼ばれる性格特性を持つ人ほど、AIを頻繁に利用する傾向があることが判明しました。

  • ナルシシズム(自己愛傾向) 自己中心的で、他者からの称賛を強く求める傾向があります。研究では、ナルシシストは自己の能力を誇示したり、効率的にタスクをこなして優越感を得たりするためにAIを活用するのではないかと推測されています。
  • マキャベリズム(操作的傾向) 目標達成のためには、他人を操作したり欺いたりすることも厭わない傾向です。マキャベリストは、偽情報の作成、説得力のある文章の生成、あるいは他者を操るための戦略立案など、自己の利益のためにAIを強力なツールとして利用する可能性があります。
  • サイコパシー(衝動性・共感性の欠如) 衝動的でスリルを求め、他者への共感や罪悪感が欠如している傾向を指します。この特性を持つ人々は、社会的な規範や倫理を気にすることなく、好奇心や衝動からAIを様々な目的(不適切なコンテンツの生成など)に利用することへの抵抗が少ないのかもしれません。

研究者たちは、これらの特性を持つ人々は、新しいテクノロジーを自己の目的を達成するための道具として捉え、倫理的な懸念を抱くことなく利用することに長けている可能性があると指摘しています。


この結果が意味するもの:技術と人間の心理を理解する重要性

この研究は、AIユーザーに特定のレッテルを貼るものでは決してありません。むしろ、新しいテクノロジーが普及する過程で、どのような心理的特性を持つ人々がそれを積極的に受け入れ、利用するのかを理解する上で非常に重要です。

AI開発者や社会は、テクノロジーが悪用されるリスクを低減するために、利用者の心理的動機を考慮する必要があります。特に、ダークトライアドの特性を持つユーザーによる偽情報の拡散や詐欺などへの対策は、今後のAI社会における重要な課題となるでしょう。

まとめ

AIは私たちの社会に大きな利益をもたらす可能性を秘めた強力なツールです。しかし、その利用はまだ一部の人々に限られており、そのヘビーユーザーには特定の心理的特徴が見られることが明らかになりました。テクノロジーの進化と共に、それを使う「人間」についての理解を深めていくことが、AIと共存する未来をより良いものにするための鍵となるでしょう。

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