海外メディアWIREDは、MetaがOpenAIの著名な研究者であるヤン・ソング(Yang Song)氏を新たに採用したと報じました。この動きは、AI分野のトップ人材を巡る大手テック企業間の熾烈な獲得競争を改めて浮き彫りにしています。
拡散モデルの権威がMetaへ
ヤン・ソング氏は、スタンフォード大学で博士号を取得した気鋭の研究者です。
特に、画像生成AI「Stable Diffusion」や「Midjourney」などの基盤技術である「拡散モデル(Diffusion Models)」の分野で、その基礎を築いた重要人物の一人として世界的に知られています。
同氏の専門知識は、高品質な画像や動画、音声を生成するAIモデルの開発に不可欠であり、Metaが今後リリースするであろう次世代の生成AIサービスにおいて、中核的な役割を担うことが期待されます。
激化する「AI人材戦争」
今回の移籍は、単なる一人の研究者の転職に留まりません。
現在、Metaのマーク・ザッカーバーグ氏は自社のAI開発を加速させるため、OpenAIやGoogleなど競合他社のトップクラスの研究者に対して、数百万ドル(数億円)規模の報酬を提示するなど、積極的な引き抜き戦略を展開していると報じられています。
Metaは、オープンソースの大規模言語モデル「Llama」シリーズや、先日発表した「Meta Ray-Ban Display」などで独自のポジションを築いていますが、ChatGPTで先行するOpenAIに対抗するためには、ソング氏のようなトップタレントの獲得が不可欠と判断した模様です。
AIの覇権を握る上で最も重要な資産である「人材」。その獲得を巡る巨大テック企業間の競争は、今後さらに激しさを増していくことになりそうです。

