キヤノンのデジタル一眼レフカメラにおける最高峰、EOS-1Dシリーズの最終モデル「EOS-1D X Mark III」が、ついに生産完了となりました。
これにより、20年以上にわたるプロフェッショナル向けデジタル一眼レフの歴史に、一つの大きな区切りが訪れたことになります。
プロフェッショナル向け一眼レフの象徴、その役割の終焉
2020年2月に発売された「EOS-1D X Mark III」は、報道、スポーツ、野生動物といった過酷な現場で活躍するプロフォトグラファーから絶大な信頼を得てきたフラッグシップモデルです。
卓越した高速連写性能、高精度なオートフォーカス、そして堅牢なボディは、まさにキヤノンの技術力の結晶でした。
しかし、カメラ市場の主戦場がミラーレスカメラへと急速に移行する中で、キヤノンもまた「EOS Rシステム」への戦略的転換を明確にしてきました。
本機がキヤノンにおける最後のフラッグシップ一眼レフとなることは、以前から業界内で示唆されていましたが、今回の生産完了の報は、その時代の移り変わりを決定づけるものと言えるでしょう。
後継機としてのミラーレス「EOS R3」そして「EOS R1」へ
「EOS-1D X Mark III」の事実上の後継機としては、ミラーレスカメラの「EOS R3」がその地位を担っています。
縦位置グリップ一体型のボディデザインやプロフェッショナルの要求に応える高い基本性能は、まさに1Dシリーズの系譜を受け継ぐモデルです。
さらに、市場ではキヤノンの新たなフラッグシップ機として「EOS R1」の登場が待たれています。
この次世代機が、これまで「EOS-1D X Mark III」が担ってきたプロフェッショナル向けカメラの頂点に立つことは確実視されています。
デジタル一眼レフからミラーレスへの完全移行
今回の「EOS-1D X Mark III」の生産完了は、単なる一製品のディスコンティニュー(生産終了)に留まりません。
これは、キヤノンがデジタル一眼レフカメラというフォーマットから、ミラーレスカメラへと開発リソースを完全にシフトさせたことを示す象徴的な出来事です。
長年にわたり築き上げられてきたEFマウントシステムからRFマウントシステムへ。
光学ファインダーから電子ファインダーへ。カメラの歴史における大きな転換点として、このニュースは長く記憶されることになるでしょう。

